俳優・市村正親と鹿賀丈史のダブルキャストで主演のミュージカル「生きる」が9日、東京・日生劇場で初日を迎えた。

 黒澤明監督の同名映画を原作に、宮本亞門氏が演出した日本オリジナルミュージカル「生きる」。2018年の初演で大きな話題になり、このほど再演となった。

 主人公の渡辺勘治はガンで余命わずかと知り、苦悩し、何か自分にできることはないかと人生で初めて「生きる意味」を探し、歩みだす。主人公・渡辺を市村と鹿賀がダブルキャストで演じる。9日は市村が初日の舞台を成功させ、10日は鹿賀が初日を迎える。演劇界のレジェンド2人が全く違ったアプローチで役を作り込んでおり、どちらも見応え充分だ。

 市村は「ようやく、演劇界も活動できるようになりました。今はそのうれしさに浸っています」と安堵する一方、コロナ禍での舞台に「油断は禁物。キャスト・スタッフそしてお客様含め全員が、健康に過ごして千秋楽を迎えられるように、徹底した予防をして乗り切りたいと思います」と感染対策を徹底すると表明した。

 鹿賀は「今は人と会いにくい状況で、思い悩む方もいるでしょう。その中での『生きる』は初演とは一味違い、よりメッセージ性が強くなっています。ミュージカルですが、リアリティのある歌を追及し、あえて崩したりもして。皆様の心に訴えかけるものになっていると思います」と意気込んでいる。

 演出の宮本氏は「今までの人生にない、感動の初日となりました。生きている事、そのものが、どれほど素晴らしい事か、多くの人の心に届いたと思います。演出した私が言うのもなんですが、初演より格段に面白くなっています。市村正親さんと鹿賀丈史さんの演技は、奥深く見事! 豪華な生オーケストラの演奏も相まって、楽しく、心震わせて、幸せを生で感じられる感動を、ぜひ劇場で味わってください!」と語った。