1年でも早く受賞してもらわないと…。スウェーデン・アカデミーは8日、2020年のノーベル文学賞を、米国の女性詩人ルイーズ・グリュックさん(77)に授与すると発表。毎年のように有力候補として名前が挙がる村上春樹氏(71)は、今年も受賞を逃した。

 受賞理由は「個の存在を普遍的な存在に作り上げる厳粛な美しさを伴った例を見ない詩的な声」。女性の受賞は18年のオルガ・トカルチュクさん(ポーランド)以来で通算16人目。米国人では、16年のボブ・ディラン氏以来となる。

 発表があった8日、村上氏が1期生として卒業した兵庫・西宮市立香櫨園小学校には、6年1組時代の同級生や学校関係者ら約20人が集まった。

 村上氏のクイズコーナーを設置するなど偉大な先輩を取り上げ、受賞を心待ちにしている同校だが、今年も吉報は届かず。稲森義浩校長(57)は「残念だけど、楽しみがもう1年延びたと考えます」と前を向きつつも「私もこの学校で7年。多くの先生が在籍しているうちにと言ってましたね…」と肩を落とした。

 同級生でただ1人訪れた頭井治男さん(71)も「年々、みんなあきらめてきて集まってる人も減ってるからね」と寂しそう。同級生は、数年前から母校に集まり、村上氏の快挙を期待するのが恒例行事だったが、恩師が亡くなってからは、1人また1人と参加者が減っている。

 頭井さんは「コロナもあるし、メールで『今年はもうやめときましょ』ってやりとりしてたんやけど、小学校の先生が用意してくれてると聞いたから来た。やっぱり気になるしね。用事があって減るのは仕方ないけど、この1年でも一人亡くなってる。それがつらいね。俺かって来年は分からんやんか…」と語った。

 来年こそは応援する人たちの笑顔が見たいものだ。