〝環境少女〟グレタさんがトランプ氏逆襲の「壁」になる?!

2020年10月05日 11時30分

ノーベル平和賞の有力候補のグレタさん(ロイター)

 米国のトランプ大統領(74)が勝負の1週間を迎える。新型コロナウイルスに感染して入院中のトランプ氏は4日(日本時間5日)、入院先を突如、車で出て支持者らに車内から手を振る行動に出た。一時は重症説も取りざたされたが、早期退院も可能との見方も示され、容体を巡って臆測を呼んでいる。コロナ克服に燃えるトランプ氏が気になるのは、9日のノーベル平和賞の発表。悲願の受賞となれば、コロナからのカムバックとともに劣勢の大統領選で、これ以上ない逆転材料につながるが、立ちはだかるのは、天敵ともいえる、あの“環境少女”だ。

 入院先のウォルター・リード米軍医療センターから一時、外出したトランプ大統領。ツイッターに投稿した動画では登場を示唆し「新型コロナについて多くを学んだ。これは本物の学校だ。よく分かった。皆さんに伝えたい」と述べた。

 3日夜のツイッター投稿では、いつもの元気がないような様子だった。呼吸を楽にするためかノーネクタイにシャツはのど元のボタンを外した状態。ホワイトハウスは否定しているものの、ニューヨーク・タイムズ紙が容体について「2日に息苦しさを訴えて酸素吸入を受けた」と報じた。今回の外出は、大統領選を意識し、サプライズ登場で強さをアピールする狙いとみられる。

 とはいえ、その容体を巡っては情報が錯綜しているのも事実だ。

 治療では、レムデシビルとステロイド系抗炎症薬デキサメタゾン、「抗体カクテル」と呼ばれる未承認薬を特例措置として投与されたという。メドウズ大統領首席補佐官が3日に「次の48時間が重要」と話せば、トランプ氏も当時は「今後の数日が本当の試練だ」と慎重な姿勢を崩していなかった。と思えば、医師団はトランプ氏の体調は良好だと強調し、早ければ5日の退院もあり得るとの見方を示すなど、二転三転している。

 米国の新型コロナによる死者数は世界最多で20万人を超え、多くの高齢者が亡くなっている。トランプ氏も74歳かつ、これまで「コロナ感染してもリスクは低い」と強弁していただけに自らが闘病生活で弱い面も見せられない。

“絶対に負けられない闘い”の闘病を続けているトランプ氏にとって、ノーベル平和賞の発表も、命運を握る一大イベントになる。

「名声と名誉を求めるトランプ氏は、ずっとノーベル平和賞を欲してきた。敵対視するオバマ前大統領が2009年に『核なき世界』を訴えて受賞したことへの対抗心もあり、執着は相当なもの。2度の米朝首脳会談やイスラエルをめぐる中東和平に力を入れてきたのは、そのためと言われている」(在米ジャーナリスト)
 いまだ北朝鮮の非核化は実現されていないが、今回、トランプ氏の感染を受けて、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が「あなたは必ず打ち勝つ」と見舞いの電報を送るなど、関係改善の余地も見せている。

 中東和平においても、パレスチナ問題を放置した状態ながら、アラブ首長国連邦(UAE)とバーレーンがイスラエルと国交正常化する仲介を行うなど、過去の米大統領が成しえなかった実績を作ったのは事実だ。

 新型コロナに打ち勝ってノーベル平和賞も受賞すれば、民主党のバイデン候補に対し、劣勢が伝えられる大統領選で一気に逆転のシナリオが見えてくるが、同賞には昨年に引き続き、“怒れる少女”ことスウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥンベリさん(17)が有力候補者となっている。

 地球温暖化防止を訴えるグレタさんは、トランプ氏にとって、まさに“天敵”だ。2人は今年1月のダボス会議で激突した。気候変動に関する国際的枠組みを定めたパリ協定から米国が脱退して批判を浴びていたトランプ氏に対し、グレタさんはいつもの険しい表情で「米国がパリ協定から離脱することに怒りを覚えます」などと激しく非難。会議後、グレタさんへのメッセージを求められたトランプ氏は「米国はよくやっている」とだけ言い残し、相手にしない姿勢を見せていた。

 トランプ氏はノーベル平和賞受賞を逃したうえに、もしグレタさんが受賞とでもなれば、そのショックは計り知れないところとなる。“オクトーバー・サプライズ”を起こすためにもトランプ氏にとって勝負の1週間となりそうだ。