国民的女優や20代アイドルも被害!〝ディープフェイク事件〟に怒りの声

2020年10月03日 05時15分

ネット検索で調べてもダメだ

 人工知能(AI)を使って、アダルト動画に女性芸能人の顔をはめ込んだ「ディープフェイク」という偽ポルノ動画が、ネットで広がっている。あまりに精巧で、芸能人本人が性行為をしているかのように見えるほどだ。その偽ポルノを無断で作成し販売したとして男2人が逮捕された。摘発は全国で初。悪質動画が流通していることに芸能界は怒り心頭だ。

 AI技術を使って女性芸能人のわいせつ動画を無断で作成し、インターネット上に公開したとして、警視庁保安課は2日までに、名誉毀損と著作権法違反の疑いで、熊本市の大学2年林田拓海容疑者(21)と兵庫県のシステムエンジニア大槻隆信容疑者(47)を逮捕した。

 林田容疑者は約40人の偽動画250本以上を作成、大半を有料サイトで公開し、約80万円を得たという。「少しでも金を儲けたかった」と供述。大槻容疑者は「顔画像を約3万枚集め、AIに100万回ほど学習させて作成した。約10分の動画を作るのに1週間ほどかかった」と説明している。

 少なくとも10人超の女性芸能人が所属事務所を通して警察に被害を訴えているという。

 日本音楽事業者協会は「芸能界全体の問題として看過できない事態だ」とし、大手芸能事務所のエヴァーグリーン・エンタテイメントは「人をおとしめる、辱めてしまうような使われ方をしていることを非常に悲しく思っております」とコメントを発表。

「ディープフェイク」とは、AI技術「ディープラーニング(深層学習)」と「フェイク(偽物)」の合成語。国内では、同様の被害が確認された芸能人が昨年から200人に上り、3500本以上の動画があるという。

 元のアダルト動画に出演している女優のセリフに合わせて、後からはめ込まれた芸能人の口が自然に動き、目線や瞬きなど細かい部分がリアルに動くため、まるで芸能人本人が行為しているかのような錯覚を与える。

 本紙が確認しただけでも、20代を代表する国民的女優Aの偽ポルノは7分33秒で販売価格1000円。20代の超有名アイドルBは6分43秒で同じく1000円。ドラマやCMで活躍する20代人気女優Cは3分43秒で800円だった。

 ITジャーナリストの井上トシユキ氏は「ディープフェイクは、中国の顔交換アプリ『ZAO』が話題になったことで、広く知られるようになった。中国では、AIの開発に関して年間で1000件近い特許の申請をするほど、技術開発を国家的に取り組んでいる。その背景はアメリカと中国どちらがデジタル覇権をとるか、主導権を握るかというところにあると思うが、その恩恵がエロのところにまで及んでいるのではないか」と分析する。

 今回逮捕されたのは日本人。専用のアプリを使えば専門的な技術者でなくても、偽ポルノが作れる。

「ディープフェイク用のアプリは現段階では10種類ほどある。パソコンの中に保存してある動画に、自分やアイドルの顔の画像を指定して設定するだけで、すぐに作ることができる」と井上氏。

 もともとはジョークアプリとして、おもしろおかしく作った動画をみんなで楽しむものだったという。

 井上氏は「今後はサイバーパトロールの強化など取り締まりが厳しくなる可能性もある。警察側も本気で取り締まろうとしているのではないか。芸能人に限らず、一般人でもSNSなどに自分の写真を公開することでフェイク動画に利用されたり、リベンジポルノにつながる場合もあるので注意が必要」と指摘する。