「半沢直樹」ばり土下座男も出現 カオス化する渋谷ハチ公前〝クラスターデモ〟

2020年09月20日 11時30分

駅前交番に人だかりが(左)「マスクを外してほしい」と土下座男も出現(右)

 週末の渋谷がカオスと化している。JR渋谷駅ハチ公前広場で「マスクはいらない!」「密になろう!」と訴える政治団体「国民主権党」によるクラスターデモに支持者、アンチ、ユーチューバー、警察、渋谷区役所が入り乱れての大混乱。既に逮捕者も出ており、次々と交番に連行される者が出る異常事態になっている。渋谷で何が起きているのか――。

 渋谷駅ハチ公前広場は、通行人の多さからこれまでも数多くの集会などで利用されてきた公共の場所。7月から都知事選にも出馬した平塚正幸氏(38)が率いる国民主権党が、「マスク、ソーシャルディスタンスは必要ない」と新型コロナ禍での行動制限に抗議し、クラスターデモなる音楽やパフォーマンスを繰り広げるイベントを毎週末開催してきた。

 しかし、このイベントに対して批判が相次ぎ、開催されるたびにアンチやユーチューバーが続々と出現し、主催者や支持者と衝突。今月にはユーチューバーの男が、国民主権党の女性支持者の顔に水を吹きかけ、逮捕される事案も発生した。

 4連休の初日で、渋谷に人出が戻った19日もクラスターデモは開催された。アンチ勢が午後2時に広場の一角を陣取ると、午後3時過ぎにはノーマスクの国民主権党の関係者が現れ、バトル勃発だ。

 マック赤坂・港区議(72)の秘書で、こちらも都知事選に出馬したスマイル党の込山洋氏(46)が、国民主権党の陣営に歩み寄ると、「明らかに妨害じゃないですか!」と抗議。さらに「とにかくスマイルしてもらっていいですか!? スマイル!!」と平和的解決を呼びかけるも、全くラチがあかない。

 そうこうするうちに「マスクを脱いでください」とドラマ「半沢直樹」ばりの土下座男も現れ、何事かとヤジ馬で膨れ上がった。午後6時過ぎには芸人のガリガリガリクソン(34)まで登場。互いにののしり合うアンチ勢と国民主権党陣営に割って入って、マイクパフォーマンスをする一幕もあった。

 その後もアンチと国民主権党陣営の小競り合いは大小問わず断続的に発生。その都度、被害を訴えたり、苦情を入れるなどで、この日だけで10人以上が警察に連れていかれる事態となった。

 このカオスな状況のトリを飾ったのが、国民主権党の平塚氏だ。午後10時過ぎにようやくマイクを握り、自慢の美声で3曲を披露。結局、混乱が収拾したのは午後11時過ぎで、最悪の事態に備え、昼から警戒していた区役所職員や私服警察官の長い一日が終わった。

 このカオスな状況は開催を重ねる度に拍車がかかっている。欧米ではマスク着用が義務付けられたことや過剰な行動制限に対し、市民が反対の声を上げ、数万人規模のデモが起きているが、国民主権党は、日本でも同様のムーブメントを起こそうと活動しており、開催は20回を超えた。炎上した方がむしろ関心が集まるとあって、アンチも歓迎しているフシすらある。

 一方、国民主権党とアンチ勢との仲裁に入っている込山氏の考えはこうだ。

「正直、マスクをするしないは自由だと思う。ただ、周辺から迷惑だという声が上がっているのは事実。それによって行政が動かざるを得なくなり、この場所を演説や集会に使うことに対して規制が入るかもしれないことが困るんです」

 渋谷区は地元商店街や区民から苦情があるとして、国民主権党に対し、デモの中止を申し入れ、議会でも議題に上がった。長谷部健区長(48)は「広場利用のルールに関する検討を進めている」と何らかの規制を行う意向を示している。

 込山氏は「この広場では、これまでさまざまな音楽活動や政治的活動が行われてきた歴史がある。ドクター・中松さんやマック赤坂を始め、多くの政治家がここ渋谷から発信してきた。ハチ公前広場は“聖地”でもあるんです。なんとか守らないといけない」と訴える。

 ただ、込山氏や行政の訴えもむなしく、国民主権党は一歩も引く構えは見せておらず、今後もクラスターデモは続くとみられる。毎週末、繰り広げられるこの騒乱はコロナ禍が終息するまで続くことになるのか、それとも区側の“強行介入”を招いてしまうのか――。