メンバー全員がコロナウイルスに感染するという異例の事態となったビジュアル系バンド「ジャックケイパー」のベース担当のYG(やじ)が「入院の不条理」を語った。

 YGはロックバンド「DIR EN GREY」のリーダー・薫のユーチューブチャンネル「The Freedom of Expression」の18日配信回に出演。「バンドメンバー全員が新型コロナに感染したのは世界初だと思います」と話す。7月中旬に都内で行われたライブに出演し、メンバー5人全員の感染が判明した。

 症状は「主にインフルエンザに似ている。高熱、身体の節々の痛み。メンバーには味覚障害、嗅覚障害もありました。メンバーの1人は1か月たっても嗅覚障害があります。お酒の匂いが全然わからないそうです」とのこと。

 入院は「2人部屋で相部屋生活。トイレとシャワー以外は部屋から出ちゃダメで、一切、会話はしなかったです。正直『ずっと帰りたい』しか頭にありませんでした」とYG。

「病院でPCR検査を受けて、2回陰性だと退院できる。退院してからも『念のため、人との接触を避けてください』と、基本的に強制でなく、お願いという形。お仕事に復帰してもいいけど『なるべく人と接触しないでくださいね』という感じです」と語る。

 入院日数は合計で14日間で「変な話、刑務所から出る時ってこんな気持ちなんだろうな」と苦笑しながら話す。そして気がかりなのは「入院費」の問題だ。

「発症した日から10日間は負担してもらえるのですが、それ以降は実費になります。入院したのが、発症から3日間たっていたので、7日分は負担が出て、そのあとは実費でした」と入院のタイミングによっては実費負担が増えるという。「7日間分の総額で合計15万5000円払いました」とかなりの高額を支払ったという。かなりの負担だろう。

 良かった点については「入院までの流れがスムーズだったのは、ありがたかったです。病院ではスタッフのみなさんが体を気遣っていただいたのがすごく心の支えになりました」と感謝する。

 気になった点については「国の定める『発症から10日間』を超えると、基本的に退院となり、あとの入院は任意になる。僕も任意で入院し、実費でした。治るまで、国が入院費を出してくれたら、世の中に感染が拡大しないで済むのになと思いましたね。金銭的な理由で退院されている方も結構いましたね」とYG。

 周囲の反応も様々で「心配してくれる声や『あいつ、かかったらしいぞ』なんて声もあり、疑心暗鬼になりました」と心労にもなった。

 メンバーは抗体を持っていて、すでにバンド活動は再開しているそうで「抗体を持っているので、そういう人を集めてライブなどをしてみたいですね。また、音楽シーンに人が戻ってくるように」と、音楽界の道しるべの1つになりたいという。