磁気ネックレスなどの預託商法を展開し、2400億円の負債を抱えて破綻した「ジャパンライフ」(破産手続き中)について、警視庁など捜査本部は、うその説明で顧客から現金をだまし取ったとして、元会長の山口隆祥容疑者(78)ら14人を詐欺容疑で逮捕した。

 被害は約1万人から2100億円超とみられ、2011年に破綻し約4300億円の被害が出た安愚楽牧場に次ぐ規模とみられる。同社は17年に事実上の倒産。16年以降、消費者庁が4度にわたってマルチ商法と認定し、一部業務停止命令を出しており、被害者からは「逮捕は遅すぎる。安倍首相退陣を待ったのではないか」との声も上がっている。
 同社はネックレスなどに磁石を埋め込んだものを磁気治療器と名付け、そのオーナーになれば元本が保証され、第三者へのレンタル収入によって年6%の配当金を得られるとして、高齢者を中心に出資を募っていた。

 さらに問題なのは政府、中央官庁との関係だ。同社の勧誘手口として、山口容疑者が安倍晋三首相(当時)主催の「桜を見る会」に招かれた招待状で信用させていたことが判明。昨年12月、国会で追及された安倍氏は「個人的な関係は一切ない」と答弁していた。

 監督官庁である消費者庁の元課長補佐がジャパンライフに天下りしていたことも判明している。

「新官房長官となった加藤勝信氏は、同社のチラシに『山口会長と会食した加藤氏からジャパンライフの取り組みを非常に高く評価していただきました』と紹介され“広告塔”をしていたと国会で追及されている。菅政権は今後、野党の追及を受けることになる」(永田町関係者)

 同社の保有資産は18年時点でわずか4億円だといい、被害金の回収はほぼ不可能。「被害者弁護団は国の責任を問い、国家賠償訴訟も検討している」(関係者)という。
 菅政権は「桜を見る会」などの再調査はしない方針だが、事件が菅政権を直撃するのは必至だ。