ダイアモンド☆ユカイと織田哲郎が「ザ・ビートルズ」を語る

2020年09月06日 10時00分

左からダイアモンド☆ユカイ、織田哲郎

【ダイアモンド☆ユカイの「昭和ロックを語る時が来た!」】「レッド・ウォーリアーズ」のボーカル、ダイアモンド☆ユカイ(58)が、ゲストを招いて昭和時代に巻き起こった日本のロックムーブメントをひもとく。ゲストはシンガー・ソングライター、作曲家、プロデューサーとして多数のヒット曲を世に送り出した織田哲郎(62)。今回は音楽史を語る上で外せないバンド「ザ・ビートルズ」について話します。 

 ユカイ ロンドン時代までは画家になろうと思っていたという話だったけど、楽器は全く触ってなかったんですか?

 織田 1971年にロンドンに行ってからピアノを弾くようになったね。行く学校行く学校に自由に弾けるピアノがあってさ。最初に覚えたのがビートルズの「レット・イット・ビー」(70年)。あの曲がすごく好きで、一日中弾いてたよ。ほかに弾ける曲もなかったし。

 ユカイ ここまでビートルズの話が出てこなかったけど、聴いてました?

 織田 正直、若いころはあんまり聴かなかったんだよ。「レット・イット・ビー」は大好きだったし、この曲と「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」(70年)のシングルを持ってたけど、あくまでいい曲だなと思って買っただけで、ビートルズが、とはならなかった。ちゃんと聴くようになったのは大人になってからだね。なんだこれ、スゲーじゃん!って。

 ――何歳ぐらいからですか

 織田 40歳過ぎてからだね。いろんな曲を聴くにつれて「ビートルズってどれ聴いてもいいじゃねえか、この野郎!」ってなった(笑い)。英国にいたころは「イマジン」(71年)とか、ジョン・レノンの新譜が出るたびに買ってたけど、振り返って昔のアルバムを買うことはしなかったからさ。

 ユカイ 曲作りとか、影響受けてます?

 織田 たぶん、そんなに強く影響は受けてないと思う。ただ精神的な部分でいつも思うことがあるんだよ。ジョンってその時の自分が面白いと感じることに忠実。一方、ポール・マッカートニーは音楽的な完成度が高いかに価値を感じる。この2人の感性のぶつかり合いがビートルズをあれだけのものにしたと思うんだけど、俺の中にいつでもジョンとポールみたいなのがいるわけ。

 ユカイ ん? どういうこと?

 織田 こっちのジョンが「面白いことやろうよ」と言ってるけど、こっちのポールが「それ、音楽的にどう?」と言ってて、今回はポールの言うこと聞こうよ、みたいなね。そういう意識の仕方はしてるね。

 ――40歳というとすでに数々のヒット曲を送り出した後ですが、ビートルズを聴いてどんなことを思われましたか

 織田 ビートルズ時代でいうと、ポールの曲の方が好きなのが多いんだけど、すごく面白いのがね、ポールってビートルズ時代とソロとでは、曲作りのリミットが違うんだよ。ジョンと一緒にやってた時のポールは、「これぐらいやってもいいよね」と、ジョンに負けないぐらい面白いことをやってるわけ。例えば「ヘイ・ジュード」(68年)。前半に「さすがポール!」という構築があった上で、後半はずっと「ナーナーナー」の繰り返し。なんだこれ!って。

 ユカイ 7分11秒の曲で、4分ちょっと「ナーナーナー」ですね。

 織田 これ、すごい話でね。ああいう冒険的な曲作りは、ソロになってからやってないんだよ。

 ユカイ バンドって面白くて、あの2人は実は一緒に作った曲ってそんなにないんだけど、例えばアルバム「ラバー・ソウル」(65年)でいうと、ポールの「ミッシェル」とジョンの「ガール」は同じようなテイスト。通じ合ってるんですよね。ただ詞を見ると、「ミッシェル」はフランクで「ガール」はすごく深いという違いはあるけど。

 織田 ビートルズ時代は2人で影響を受け合ってたんだね。あの2人がビートルズとして一緒にやっていたのって、本当に面白いよ。

 ☆おだ・てつろう 東京都出身。シンガー・ソングライター、作曲家、プロデューサー。1979年にユニット「WHY」でデビュー。80年代半ば以降、作曲家として「シーズン・イン・ザ・サン」「負けないで」やレコード大賞を受賞した「おどるポンポコリン」などのヒット曲を生み出し、自身のシングル「いつまでも変わらぬ愛を」もミリオンセラーに。累計シングル販売数4000万枚以上。プロデューサーとしては相川七瀬などを手がけた。ダイアモンド☆ユカイらとのバンド「ROLL―B DINOSAUR」で2枚のアルバムをリリース。

 ☆ダイアモンド・ユカイ 1962年3月12日生まれ。東京都出身。86年にレッド・ウォーリアーズのボーカルとしてデビュー。89年に解散後、数度再結成。最新ソロアルバム「The Best Respect Respect In Peace…」が発売中。