落語家・三遊亭金馬「金翁」襲名も苦しい胸の内 寄席も入場制限で「お祝いムード半減」 

2020年08月28日 11時30分

三遊亭金翁(左)と五代目三遊亭金馬は親子で、この国難を乗り切る

 落語家の三遊亭金時改め五代目三遊亭金馬(57)、ならびに四代目三遊亭金馬改め三遊亭金翁(91)の襲名記者会見が27日、都内で行われた。

 2人は実の親子で、父の四代目金馬は昭和30年代、NHKの人気番組「お笑い三人組」で人気を博した。今回、息子に金馬の名を譲ることについて「脳梗塞をやって、寄席の方にもごぶさた。家にいたまま金馬の名前をお借りしとくのは申し訳ないと思って、金馬を引退しようと思った」と明かした。

 襲名披露興行は9月21~30日の鈴本演芸場を皮切りに、10月1~10日に新宿末広亭、11~20日に浅草演芸ホール、21~30日に池袋演芸場、11月1~10日に国立演芸場で行われる。

 襲名披露興行は本来、大入り満員の祝福ムードで行われるが、現在のコロナ禍では、そうもいかない。現在は寄席も、観客は通常の半分以下に制限して開催している。

 落語協会の柳亭市馬会長は「落語界では非常に珍しい親子2代の襲名披露興行。お客さんをいっぱい、いつものようにお招きすることができないのが非常に我々の苦しいところ。制限がある中で祝っていただきたい」と、苦しい胸の内を明かした。

 五代目を襲名する金時は「高校野球だって中止になってるような状況で、披露興行ができるのはありがたいこと。それにスペイン風邪以来120年ぶりのパンデミックの時に当たったんで、逆に運がいいのかなと思ってます」と話した。

 緊急事態宣言が出た4~5月は寄席も閉鎖された。戦時中でも寄席は開かれていただけに、これは長い落語の歴史でも異常な状況だ。

 1941年に入門した四代目金馬は「私は空襲で『サイレンが鳴ったから避難してください』なんていう時にも落語をやってた。それから比べれば、今の方がよっぽど厳しいと思いますよ」と言いつつ、「でもへこたれているようなヤツはいません。噺家(はなしか)ってのはずぶといから」と前を向いた。