〝民主の女神〟周庭さんパスポート没収で遠のいた「日本のアイドルとの共演」の夢

2020年08月13日 06時15分

〝民主の女神〟周庭さん(右=ロイター)

 香港国家安全維持法違反容疑で10日に逮捕された香港の民主活動家・周庭(英語名=アグネス・チョウ)さん(23)と、人気アイドルグループ「欅坂46」の関係が注目されている。11日深夜に保釈された周さんは、同グループのヒット曲「不協和音」の歌詞が「ずっと頭の中で(日本語の歌が)浮かんでいました」と拘束中の心の支えになっていたと告白した。だがパスポートを没収され、日本好きの周さんが密かに描いていた〝アイドルとの共演〟の夢は遠のいてしまった。

 周さんは、2014年に起きた香港の大規模民主化デモ「雨傘運動」を率いた学生団体の元幹部で、同運動を通じて〝民主の女神〟と呼ばれた。

 保釈された警察署の前で取材に対応した周さんは、日本の報道陣の質問に流ちょうな日本語で「これまで香港の社会運動に参加して4回逮捕されてきたが、(今回が)一番怖かった」と恐怖を語り、パスポートを没収されたことも明かした。

 さらに周さんは「拘束されている間『不協和音』の日本語の歌詞が頭に浮かんでいました。香港市民や日本、世界の人々から応援をいただいた。皆さんの愛、支持に感謝したい」と話した。

「不協和音」とは2017年4月に発売された欅坂46のヒット曲。激しいダンスとともに、メンバーが全身全霊を込めて歌う姿が印象的で、同調圧力に負けず、意思を貫く強さを歌っている。

 保釈のニュースが流れると、日本のツイッター上では「不協和音」がトレンドワード入り。「周さんは欅坂46が好きだったのか!!」などと驚きの声が挙がった。

「10代前半からアニメやアイドルなど、日本のポップカルチャーが好きになり『モーニング娘。』の香港公演にも足を運んだ。AKB48も好きになり、総選挙の順位予想に熱を上げていたこともあったとか。自ら『私はオタク』と語っていたほどで、独学で日本語をマスター。さらに、政治活動を通じて磨きがかかり、今では『日本語の方が得意』と冗談交じりに話すぐらいにまで上達していた」(周さんと交流のある音楽関係者)

 日本を訪れた際は必ず〝オタクの聖地〟である東京・秋葉原を散策していた周さん。アニメやアイドルなど日本の関係者との交流もあり、そこで見せる楽しそうな姿は「日本好きな普通の女の子だった」という。

 乃木坂46なども大好きになったが、中国の圧力が強くなる中でひかれたのは「欅坂46」。大人など強いものに媚びない、メッセージ性の強い歌詞に自らの姿を重ねていった。

「周さんは逮捕されるたびに拘置所で『不協和音』を歌っていたのは、現地では知られた話です。脱退してしまいましたが、センターの平手友梨奈のパフォーマンスが好きで、彼女が体調不良になった際は自分のことのように心配していた」(前同)

 高校時代から社会運動に〝青春を捧げてきた〟周さんだが、AKB48グループ総監督を務めていた横山由依(27)の大所帯をまとめる姿に刺激を受けたこともある。10代半ばのころは、日本でアイドルになる夢を抱いたこともあったという。

「ただ『ダンスが苦手』とのことで、そっちの夢は早いうちにあきらめたようです。それでもかわいく撮られることは大好きで、モデルとしても活躍する欅坂46メンバーらと雑誌などで〝グラビア共演〟する夢を語っていた。水面下で動いていた出版社もあったのですが、やはり政治情勢などを考慮して実現はしなかった」(前同)

 周さんは、昨年8月に香港の当局に逮捕された際の保釈の条件として、海外への渡航が制限。さらに、今回の逮捕でパスポートも没収され、渡航は難しい状況になってしまった。

 大好きな日本を訪れることもできない周さん。胸に秘めた女の子らしい夢をかなえることもできないのだろうか…。