今年の米大統領選に出馬を表明しているラッパー、カニエ・ウェスト(43)が現地時間19日夕、サウスカロライナ州チャールストンで初の選挙集会を行い、「出産した人には誰でも100万ドル(約1億700万円)を給付する」という、耳を疑うような公約が飛び出した。

 米ABCニュースによると、カニエは米国で論議が続く人工妊娠中絶問題に触れ、「父親は私の誕生を望んでいなかった。もし母親が中絶していたら自分はここにいなかった」と説明。また、妻キム・カーダシアンの妊娠が判明した際には「子供を望んでいなかった」と明かし、「もう少しで娘を殺すところだった」と告白し、号泣。「娘を愛している」と強調した。

 カニエは妊娠中絶が合法であるべきとした上で、出産した人には育児手当など手厚い支援が必要だと訴え、まるでその場で思いついたように〝100万ドルの給付策〟をブチ上げたのだ。その財源などは示されなかった。

 集会でカニエは警官による暴力問題から、大麻の完全合法化、自身が進めるアディダスとの共同事業の話題など、話は次々に飛び、時に落涙するなど、情緒不安定な様子をうかがわせた。

 ABCによると、サウスカロライナ州で無所属候補として出馬するためには、有権者1万人分の署名が締め切りの20日までに必要だった。そのためカニエは18日に支援を求めてツイート。19日には必要な署名が集まり、ぎりぎりで間に合ったという。

 カニエの選挙対策チームの選挙戦略専門家がメディアに対し、「カニエが離脱を決めた」と伝えてから1週間たったが、ABCは周囲の情報として、現在も複数の州で立候補に必要な署名集めが依然行われていると伝えた。

 また、同チームは今後はニューヨークを含む選挙集会を開催する予定だとしている。