隻眼のヒップホップMC・ダースレイダー「音楽業界をカレーで再生!」

2020年07月20日 15時00分

音楽業界再生を語ったダースレイダー(左上はプロデュースしたレトルトビーフカレー「ダメヤ」)

 東大中退という異色の経歴を持つ、隻眼のヒップホップMC・ダースレイダー(43)がなぜかカレーをプロデュース!? 音楽業界はコロナ禍で停滞を余儀なくされているが、大のカレー好きとして、雑誌の「カレー好き100人」に選出されたこともあるダースレイダーは、カレーと音楽を結び付けることによって「新たな音楽の価値付け」を狙っている。さらに「コロナ禍のエンターテインメント」についても独自の見解を語った。


 ダースレイダーがプロデュースしたのは、福岡にある行列ができる超人気店「ダメヤ」とのコラボで辛口ビーフ味のレトルトカレーだ。

 同店店主は15年ほど前に映像制作の仕事をしており、ダースレイダーとは旧知の仲。2年ほど前に後輩を通じて、再び縁ができた。「ダメヤの名前も、僕らがかつて立ち上げたインディーズレーベル『ダメレコ(Da.Me.Records)』から取ったんです」(ダースレイダー)と、店主からの恩返しの部分もあったという。

 そこでカレーという「モノ」と「音楽」を結び付けるアイデアが思い浮かんだ。音楽業界は「CDが売れなくなった」と苦しい状況が続いている。

「音楽がサブスクリプション(月額定額サービス)で聴くものというふうになってきていて、モノとして売れなくなっている。ただ、食べ物はモノとして買うしかない。音楽はモノではなくなったけど、逆に『モノの周りに音楽をまとわせる』というようにすれば、もう一度、音楽とモノを結び付けられるんじゃないかなと思ったんです。食べ物のイメージを音楽とセットにすることで、より楽しめる未来があるかもなと。モノの周りを音楽が漂っている、そんなイメージでできないかと。カレーの“香り”的な位置づけで音楽を提供できないかと思ったんです」

 タダや安価で聴けるようになった音楽を「もう少しスペシャルなものにしたい」と熱く語る。これまでにはなかった新たな形での「音楽業界再生」を考えている。その“野望”はジャンルレスだ。

「カレーをレコード屋に置けないか。見た目で『なんだこれは?』となる。でも、このカレーの周りには音楽が漂っているとなれば、レコード屋でも売れる。もし、これがうまくいったら、大手さんにもどんどんマネしてもらって『ハウスバーモントカレー』の曲をサザンの桑田に頼んだりね。そういう挑戦の一歩目になるのではないかと。ぜひ、いろんなジャンルにパクってほしい」

 普通なら、自分のアイデアはマネされたくないはずだが、むしろパクってほしいというから面白い。店で購入する際には「さらにスペシャル楽曲をプラスしてます」とちゃんと音楽好きも納得の仕上げだ。さらにはコロナ禍での音楽業界にも一石を投じたいという。

「コロナ禍で一番ありがたいなと思っているのは『失敗が許される時代』になっていること。正解が分からない時代だから、とりあえず何かやってみて、うまくいかなかったら、それがまた参考になる。『あそこ行くと、コケるぞ』とか『あの道行くとダメっぽい』と、お互いが様子を見ながら学べる時期になっている」と失敗を恐れず、表現するチャンスが生まれていると指摘する。

「様子見スタンスもそれはそれでいい。一つの生き方ですし。だけど、決まっていないなら何やってもいいじゃん。場合によっては叩かれることも、称賛されることもあるとは思います。でも、ミュージシャンも困っているんだから、生活必需品に音楽をまとわせれば、モノとして売れる。ジャンルを超えて、お互い助け合いの精神でね」と訴えた。

 最後には「でもやっぱりカレーなんで、食べておいしいと思ってくれれば!」と締めくくった。果たして、ダースレイダーの思い描く「食べて満足、聴いて満足」の時代は到来するのか?

(インタビューの特別“DOPE”バージョンを東スポWebで掲載します)


☆ダースレイダー 1977年4月11日生まれ。パリ出身。東京大学中退。98年にヒップホップユニット「MICADELIC」として活動開始。2010年に脳梗塞で倒れ、合併症で左目を失明。眼帯がトレードマークで、ファンからは「片目のダースのオジキ」の愛称でも親しまれる。父は朝日新聞欧州総局長などを務めた故和田俊氏。