三浦春馬さん訃報で急ぐべき「SNS誹謗中傷」への罰則 脳科学者と犯罪心理学者の見解一致

2020年07月20日 11時00分

ネットで誹謗中傷を受けていた三浦春馬さん(左上は木村花さん)

 またしてもSNSの誹謗中傷が命を奪ってしまったのか――。俳優の三浦春馬さんが18日に自ら命を絶った理由の一つとしても指摘されており、再燃しそうなSNS問題。5月の木村花さん(享年22)に続く著名人の自殺を受け、脳科学者と犯罪心理学者、2人の専門家は揃って罰則を伴う法整備の必要性を訴えた。

 人気俳優の突然の死が日本中に衝撃を与えているが、早々に原因として挙げられたのがSNS上での誹謗中傷だった。

 三浦さんの訃報が流れる数時間前に、同じ所属事務所の賀来賢人(31)がインスタグラムのストーリー機能を使って「人が好きなモノや、一生懸命やっている事を馬鹿にするのなんか超簡単で、否定したり、好きだ嫌いだ言う事も超簡単。本当に超簡単。靴紐結ぶより。SNSがもっとポジティブになる事を願ってます。」と意味深投稿。これをきっかけに誹謗中傷が原因ではないかという見方が広がった。

 ある芸能関係者は「三浦さんは、東出(昌大)さんの不倫騒動時に擁護ととられた投稿や3月の新型コロナ禍での舞台をめぐっても炎上。最近も歌手活動に対する批判にさらされていた」と明かす。SNS上の誹謗中傷だけが理由ではないだろうが、賀来の意味深投稿からも無関係だったとは言えないだろう。

 芸能界では5月にも女子プロレスラーの木村花さんが、出演番組がきっかけでSNS上での誹謗中傷を受け自死したばかり。SNS投稿をめぐっては世界的に見てもアイドルや俳優が自死に追い込まれるケースは後を絶たず、対策が急がれている。

 脳科学者で諏訪東京理科大学の篠原菊紀教授は、SNS上で誹謗中傷する人たちについて「3~5割が遺伝要因」だと話す。

「人間は誰かに『叩かれてしかるべき悪』の部分を見つけると、同調して叩くという気持ちが生まれやすくなる。普通は自制心が働いて一緒に叩くことはしないが、結果を深く考えない衝動性の高い人たちは自制できずに叩いてしまう。この衝動性の高さは、親の性格とは別にDNAが作られるときに3~5割が遺伝要因として決まる」

 三浦さんの件に置き換えると、不倫をした東出を擁護したこと、新型コロナ禍にミュージカルの舞台を上演したことがSNS上で「叩かれてしかるべき悪」ととらえられ、衝動性の高かった人たちに誹謗中傷を受けてしまったというわけだ。

 また、元警視庁刑事で犯罪心理学者の北芝健氏はSNS上で誹謗中傷する人たちについて、結果を予見して自らを律することができない「快楽中毒者」だとして、一刻も早い法整備を訴える。

「三浦さんが首をつったのは悲惨の極みです…。私も多くの誹謗中傷を受けてきましたが、SNS上で誹謗中傷する人たちは、誹謗中傷のコメントに『いいね』がつくことで快楽物質のドーパミンが出て高揚感を得ている。一種の快楽中毒者で一説には性行為より快感を得ると言われるほど。一刻も早いSNSへの実名制導入と法整備が必要です」

 一方で、こんなデータもある。SNSでの誹謗中傷で自死する人が日本以上に多い韓国では2007年から12年に違憲判決が出るまでの一時期、インターネット実名制に関する法が施行されたことがあるが、結果的に常識を持った一般的な書き込みが減り、誹謗中傷の書き込みはほとんど減らなかった。

 これに北芝氏は「相当強い罰則がなければ中毒者は止められない」と、SNS上での誹謗中傷の厳罰化を訴える。篠原教授も「法的な厳罰化は衝動性の高い人たちの誹謗中傷を止める一つの解決策」というだけに、議論が加速するのを願うばかりだ。