【棋聖戦第3局】藤井七段も脱帽した渡辺棋聖の執念

2020年07月10日 11時00分

タイトル戦ではストレート負けしたことがない渡辺棋聖(代表撮影 日本将棋連盟)

 タイトルはそう簡単には譲らない!――「魔王」が執念を見せつけた。将棋の高校生プロ・藤井聡太七段(17)が渡辺明棋聖(36=棋王、王将)に挑む第91期ヒューリック杯棋聖戦5番勝負の第3局は9日に東京・都市センターホテルで指され、142手で後手の渡辺棋聖が勝利した。

 藤井七段は「魔王」の異名を取る渡辺棋聖を相手に2連勝しており、この日の対局で史上最年少でのタイトル奪還に王手をかけていたが、黒星となった。

 対局後、藤井七段は「いくつかミスが出てしまったかなという感じ。今日の将棋の内容を反省し、次の対局に良い状態で臨めるようにしたい」と話した。

 一方、これまで2敗と、タイトル防衛が危ぶまれていた渡辺棋聖にとって、この日の対局は大一番となった。

「状況が苦しかったので開き直ってというか、思い切っていこうかなと。決めてきたところはどんどん差していこうと思っていた」(渡辺棋聖)

 その言葉の通り、終盤には藤井七段の持ち時間に大差をつけ、見事に勝ち切った。

 渡辺棋聖は「作戦が当たったところがあるので、勝ち方の部類としていいものではないのでしょうけど、カド番だったのでぜいたくを言える状態ではなかった。結果に満足して次に向かいたい」とすがすがしい表情を見せた。

 2人の対局について、プロ棋士の勝又清和七段は「ものすごくレベルの高い対局だった。タイトル戦ではストレート負けをしたことがない渡辺棋聖ですから、そう簡単には負かされないということでしょう。これまで藤井七段のすごさばかりが注目されてきましたが、冷静に考えれば、渡辺棋聖はものすごい棋士。藤井七段は王位戦の対局もあり、タイトなスケジュールに疲労もあるはず。そういう意味でも第4局はどうなるか分かりませんね」と話した。