〝お蔵入り〟とされたドラマが、ついにお茶の間に帰ってくる。女優の松嶋菜々子(46)主演の大ヒットドラマ「やまとなでしこ」(フジテレビ系、2000年)が、7月6、13日に「やまとなでしこ 20周年特別編」として2週連続で、2時間スペシャルとして放送されるのだ。〝月9〟の中でも傑作の一つに数えられるだけに、ネット上は歓喜の声であふれているが、〝別の意味〟でも注目が集まっている。それは、出演者の押尾学氏(42)の扱いだ。

 同ドラマは、貧しい家庭で育った客室乗務員の神野桜子(松嶋)が、玉の輿に乗るために、より〝高スペック〟な男性を求めて合コンを繰り返すラブコメディーだ。

 ワイドショー関係者は「テンポよいストーリー展開と、キャラ立ちした登場人物が出色でした。中でも桜子が言う『合コン後のデートは、年収と財産調査の面接時間!』『どんな誠実な男よりも、信じられるのはお金!』というセリフは大ウケ。ITバブルに沸いた後の世相も反映していました」と振り返る。

 全11話の平均視聴率は26・4%。瞬間最高視聴率は、最終話での39・9%という驚異的な数字をマークした。また、MISIAが歌う主題歌「Everything」はシングルチャート3週連続1位を獲得し、200万枚のミリオンセラーとなるなど社会現象になった。

「フジテレビは、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、4月期の月9ドラマ『SUITS/スーツ2』の第3話以降の放送を延期している。少しでも視聴率を稼ぐために、特に要望の多かった『やまとなでしこ』の再放送に踏み切ったのでしょう」とは制作会社関係者だ。

 同ドラマは08年まで計8度再放送されているが、さすがにゴールデンタイムではない。それだけに、ネット上では「見たかった!」「フジテレビはよくやった!」とファンは早くも盛り上がっている。

 だが、注目を集めているのは、それだけではない。芸能関係者がこう耳打ちする。

「問題は〝事件〟を起こした押尾がどういう扱いになるかですよ。押尾は桜子の合コン相手となる若手医者役として出演しています。桜子と結ばれる中原欧介(堤真一)の親友・粕屋紳一郎(筧利夫)の後輩にあたり、出演シーンは意外に多い。ちなみに、押尾はここで共演した矢田亜希子と交際し結婚したのです」(同)

 押尾氏は09年、六本木ヒルズの高層マンションの一室で銀座ホステスと合成麻薬MDMAを服用。その後、このホステスが死亡し、逮捕された。裁判は最高裁までもつれ、結局、保護責任者遺棄罪で懲役2年6月の実刑判決が確定。14年に仮釈放となったが、押尾氏はこれを機に芸能界を引退することになった。

 同時に、事件後「やまとなでしこ」は〝最大タブー〟とされ、再放送できなくなってしまったのだ。

 事情を知る関係者は「この事件は、奇怪なウワサが飛び交った、いわくつきの事件でした。大物政治家の息子や、有名スポーツ選手、成功した実業家の名前まで取りざたされたこともある。押尾氏がある週刊誌に『いろいろな人に思うことや言いたいことがある』と告白したこともあり、臆測を呼びました」と話す。

 ここまで騒ぎになれば、さすがにフジテレビとしても手は出せないだろう。

 前出の制作会社関係者も「今回、2週にわたってそれぞれ2時間に縮めているので、押尾氏のシーンはカットされるとみられます。それに加え、矢田との絡みのシーンもカットになるのは間違いない。ただ、それでどこまで物語として成立するかですよね。逆にカットされずに放送されたらニュースです」。

 社会現象にまでなった傑作ドラマが、どんな形で再放送されるのか。(視聴率は関東地区、ビデオリサーチ調べ)