英ロック界の大御所、ローリング・ストーンズは28日、米大統領選のキャンペーンでトランプ陣営が同バンドの曲を無断使用しているとして、知的財産の侵害行為をやめなければ同大統領を訴えると警告した。

 米FOXニュースによると、トランプ陣営はこれまで全米各地で開催された支援者集会で、ストーンズによる1969年の楽曲「無情の世界」を無断使用してきた。ストーンズ側は繰り返し警告してきたが聞き入れられなかったため、音楽著作権を管理する米団体「ブロードキャスト・ミュージック・インク(BMI)」と共同でトランプ氏に通告書を送ったという。

 同楽曲はストーンズの代表曲の一つ「ホンキー・トンク・ウィメン」のB面として発表された。合唱団によるコーラスのイントロが印象的で、ミック・ジャガーが熱唱する7分30秒の大作だ。ジャガーとキース・リチャーズの共同制作で、69年に発売されたアルバム「レット・イット・ブリード」に収録されている。

 通告書は「これでトランプ氏が今後、選挙運動でジャガー&リチャーズの楽曲を使用することはなくなるだろう」と付け加えた。

 実はトランプ氏に対し、楽曲使用をやめるよう警告しているのはストーンズだけではない。

 2017年に亡くなった米ロックミュージシャン、トム・ぺティの家族側は先週、トランプ氏がオクラホマ州タルサで開いた支援者集会で、ぺティの89年のヒット曲「アイ・ウォント・バック・ダウン」を無断使用したことを問題視。

 家族側は「私たちは米国を信じ、民主主義を信じている。だが、ドナルド・トランプ氏はこれらの高貴な考えを持ち合わせていない」と指摘。その上で「この政権に疎外されたファンの人たちに、私たちが(不法な楽曲の)使用に加担していると思われたくはない」と訴えた。

 家族側はトランプ陣営に対し、著作権侵害行為をやめるよう警告したとしている。