まさに、飛ぶ鳥を落とす勢いだ。将棋の藤井聡太七段(17)が28日、東京・渋谷区の将棋会館で行われた第91期ヒューリック杯棋聖戦5番勝負の第2局で渡辺明棋聖(36=棋王、王将)と対局し、後手90手で勝利。7月9日に行われる第3局で勝利すれば史上最年少でのタイトル獲得となる。さらに王位戦にも7月1日から並行して臨む。どこまで飛躍するのか、期待が高まる藤井七段の今後を風水の専門家に占ってもらった。

 やはり〝将棋の神様〟の申し子だ。先勝して迎えた第2局は、異様な雰囲気に包まれた。4日前に出身地の愛知県瀬戸市役所に藤井七段を名指ししての殺害予告の電話があったからだ。

 仮にイタズラだったとしても17歳の高校生が殺害予告を受けようものなら精神的動揺は計り知れない。そんな周囲の心配をよそに藤井七段は終始落ち着き払った様子で、騒動があったことを感じさせなかった。

 矢倉模様の展開から、午後に入って一気に激しい攻め合いとなり、最後は藤井七段が鋭い手を連発し、鮮やかな攻めで寄せ切った。渡辺棋聖を「大胆な指し方でこられた。一気にダメになった」と脱帽させた。

 これで2連勝。9日の第3局に勝利すると、屋敷伸之九段が持つ18歳6か月の史上最年少タイトル獲得記録を更新する。さらに王位戦も並行して行われ、ダブルタイトルの期待もかかる。

 希代の若き棋士の運勢はどうなっているのか。中国皇帝の運勢診断(皇帝診断)で鑑定する老舗風水専門店「風水改運中心」(東京・浅草)の高澤秀和氏は「彼は今、完全に宿命をうまく操れている。良い名馬に乗って、方向が定まっており、一緒に歩んでいるという感じで無敵の状態。本当にすごい」と話す。

 皇帝診断とは、生年月日などから、その人の生まれながらに持った素質や運気の良い時期などを診断するもの。藤井七段の診断書は「大発達をする幸運に恵まれます。社会的にも信頼され、権利を得て名実ともに発展します」と記されていた。

 高澤氏は「名実とは、名前が有名なだけでなく実力もしっかり伴っているということ。つまり称号を取れるということ。若くして取れるというのは本当にすごいことですからね。彼の場合は努力とは別に、そういうレールが用意されている」と話す。

 最年少タイトル獲得は、運勢的にも確実視されるということなのか? 一方で、気がかりもある。殺害予告があったように藤井七段への注目度がさらに増している。王位戦7番勝負では全国を周る。既に全国区の知名度を誇るが、移動や滞在時にも余計な気苦労が出てくることだ。

 高澤氏は「彼の場合は嫉妬の対象にもなる。普通に棋士としてやっているだけなら何も起こらなかったはず。だが『最年少』など、いろんなタイトルがついて有名になったことでタレント業に近づいてしまった。人気=人の気というものは、好き嫌いが出てしまう」と指摘する。

 現時点で、藤井七段自身は周囲のフィーバーぶりにも全く動じることがないのが、幸いともいえるが、高澤氏はさらなる不動の心を持つために「赤と黒がラッキーカラー」と説く。

「勝負時に赤を取り入れるのがおススメで、服装などの色は紫や黒、グレーなどの寒色系が集中力を高めてくれる。また扇子は龍の絵がついたものを使えば、風が良い気を起こしてくれる」

 この日、藤井七段は師匠の杉本昌隆八段(51)からプレゼントされた和服で臨んだ。くしくも着物は濃紺で、羽織は黒とラッキーカラー通りだ。2度目の和服で、長時間着用しての対局は初ながらも、「普通通りにやれた」といい、やはり集中力も高まったのか。

 最後に高澤氏は「一般の人(高校生)はこれから社会に出て、いろんなことをしながら方向性が決まっていくが、藤井さんはこれからお付き合いしていく人たちの範囲はある意味、狭いので、方向性はずっと決まっている。そういう意味では今後が楽しみ」と話す。

 風水的にも視界良好の藤井七段は最年少タイトルの獲得だけでなく、どこまでタイトルの山を築き上げることができるのだろうか。