将棋の最年少棋士・藤井聡太七段(17)が、渡辺明棋聖(36)との棋聖戦5番勝負の第2局(28日)を迎える。初戦を制した藤井七段は第2局も勝てば、最年少でのタイトル獲得となる棋聖奪取に王手をかけるが、その前にもう一つ、「最年長対最年少」をかけたファン注目の大一番が23日に控えている。

 藤井七段は20日に第33期竜王戦ランキング戦3組決勝で、師匠の杉本昌隆八段(51)と対局し、95手で勝利した。

 2018年3月の第68期王将戦1次予選以来、2度目となる公式戦での師弟対決。気合の和装で臨んだ杉本八段に対し、スーツ姿の藤井七段が初対局に続いて“恩返し”に成功。「大きな舞台で非常に楽しみにしていたので、優勝できたのはうれしい。本戦ではいい結果を残せていないので頑張りたい」と先を見据えた。

 その視線は棋聖戦第2戦に向けられているかに見えるが、23日に王位戦挑戦者決定戦で、永瀬拓矢2冠(叡王、王座)に挑む一局も外せない。永瀬2冠と藤井七段は、棋聖戦の挑戦者決定戦を争った因縁があり、この時は藤井七段が勝っている。

 ただ、もちろん2冠を保持する実力者だけに、藤井七段にとって簡単な相手ではない。というよりも実際は永瀬2冠の方が格上の存在だが、「もし藤井七段が勝てば、将棋ファンならずとも注目のタイトル戦になる」とみられている。というのもタイトル保持者が「中高年の星」と言われる木村一基王位(46)だからだ。

 木村王位は昨年の王位戦7番勝負で、豊島将之名人、王位(当時)を4勝3敗で下し、初めてのタイトルを獲得したが、その時の年齢が46歳3か月だった。それまでの初タイトルを獲得した最年長記録は37歳6か月で、それを大幅に更新する記録となった。

 木村王位はそれまで6度もタイトルに挑戦したが、いずれも敗退していた。それでもめげることなくチャレンジし続け、40代後半になってようやくタイトルを獲得したため、「中高年の星」と大いにたたえられた。

 そんな木村王位の初防衛戦の相手が現役最年少棋士で、史上最年少でタイトルに挑戦している藤井七段となれば、将棋ファン以外にも注目されるのは間違いない。

 普段なら、藤井七段を応援するムードが漂うが、「中高年の星」と言われる木村王位なら、「若い藤井七段を打ち破って防衛してほしい」と思う年配のファンも多いだろう。

「最年長対最年少」という注目のタイトル戦、果たして実現するか?