ファンが待ちに待ったプロ野球のペナントレースが19日、3か月遅れで開幕した。

 阪神の優勝を祈願し「日本一早い優勝マジック」を点灯させることで有名な尼崎中央三丁目商店街は、16日にひっそり「マジック120」を点灯。さぞや開幕を待ちわびていたのかと思いきや、同商店街振興組合の寺井利一理事長は意外にも「今年はちょっと複雑ですね」と心境を明かした。

「盛大にやると、どうしても人が集まり、密になってしまう。このイベントは街を盛り上げるためにやっているのに、盛り上げたらアカンとなると、『やる意味があるのかな』と自問自答の日々でした。何か事故でもあった時に、『誰が責任を取るの?』って話にもなる」

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、例年通り開幕2日前に予定していたマジック点灯式を延期。6月になり、開幕が発表された後も、巨人・坂本勇人内野手らのコロナ陽性判定を受け、「ほかにも出る可能性もあるかもしれないし、今年はもうダメだと思った」という。

 それでも、2002年(東日本大震災が起きた11年は自粛)から続けてきた名物イベントとあって、マスコミやファンからは「今年はどうするん?」という問い合わせが相次いだ。

 そんな声に寺井氏は「中止するのは簡単なんですけど、日常を取り戻していく過程において、ちょっとでも明るいニュースがあっていいかなと思ったし、貢献できたらと思った」とマジック点灯を決定。「阪神OBを呼ぶのも、六甲おろしを歌ってジェット風船を飛ばすのもやめにしました。でも、お客さんも毎年やってるから『開幕2日前の17日やろ』って予想してる。そうなると、人が集まりそうだから、1日前倒しして、16日にひっそりと行ったんですよ」と話した。

 巨人との開幕戦(東京ドーム)で、阪神は大接戦の末に敗れたが「今年は阪神が試合できるならそれでいい」。

 シーズン終了後、優勝セールで沸き立つ商店街を目にしたいものだ。