「月とオオカミちゃんには騙されない」にあって「テラスハウス」になかったもの

2020年06月14日 17時00分

木村花さん

 先日、恋愛リアリティショー「テラスハウス」(フジテレビ、ネットフリック)に出演していた女子プロレスラーの木村花さん22歳の若さで死去した。番組での言動がきっかけとなり、生前はSNS上で激しい誹謗中傷を受けていたことがわかっている。そうした誹謗中傷をしていた人たちと同時に、フジテレビなど制作サイドの責任を問う声も上がった。

 恋愛リアリティショーは視聴者の没入感が強いといわれている。また出演しているのは、デビューしたての芸能人ら若者がほとんどで、SNSの炎上には“免疫”がない。「SNSを通じて直接、文句や悪口が言える時代だからこそ、番組の演出とはいえ“悪者”をつくることは危険視されていた」(制作会社関係者)

 現在、日本を含め世界中でリアリティショーが人気だ。しかし、不幸なことに海外では出演者の中から何人も自殺者を出していることもあり、多くの番組は危険性を踏まえた上で番組づくりを行っている。40歳を超え、すっかり恋愛リアリティショーとは縁遠い存在となった私だが、つい最近、それを実感することがあった。

 緊急事態宣言発令による自粛期間中は自宅にいることが多かったため、休校中の子供が見ていた恋愛リアリティショー「月とオオカミちゃんには騙されない」(ABEMA)を全話ではないが一緒に見た。

 20歳前後の男女が集まり恋愛をするというものだが、その中には「オオカミちゃん」と呼ばれる絶対に恋をしない人が隠れていて、波乱を巻き起こすというもの。当然、視聴者からの憎しみや怒りを最も集める可能性が高いのはオオカミちゃんなのだが、そうならないように心がけて制作しているのが見て取れた。

 最終話でオオカミちゃんの素性がバレた後も、飯豊まりえらのスタジオトークでは、みんなをダマす形になったオオカミちゃんの苦悩を代弁。さらに特別編として、オオカミちゃんにクローズアップした動画を作り、悩んでいる姿などを見せた。悪者扱いされないために徹底的にフォローしたということだ。ここまでやれば、誹謗中傷が届く確率はグッと下がることだろう。

 翻ってテラスハウスはどうだったのか? 炎上をあおっていなかったのか? 番組MCらにスタジオトークなどでフォローさせていたのか? 亡くなる数日前には、花さんが炎上するキッカケとなった事件を蒸し返すような動画をアップしていたが…。

 花さんの死を受けて、フジテレビは番組を検証することを明らかにしている。二度とこのような悲劇は起きてほしくない。