劇場オンライン再開!舞台人の熱意 出演拒否が相次ぐもなんとか実現

2020年06月13日 17時00分

演じる際も2メートル以内に近づかない板野友美(右)と清水伸(提供写真)

 新型コロナウイルス禍にある中、芸能界で新しい挑戦が始まった。東京都の休業要請緩和が、12日から最終段階の「ステップ3」へ移行されたが、芸能界はまだ元に戻るのは程遠い。この苦境を打破するべく、有名劇場の舞台がオンラインで配信されることになったが、収益は赤字必至で、しかもオファーを拒否する俳優や女優がいたという。それでも開催を決行するワケとは――。

 芸能界が苦境にあえぐ中、注目されている作品がある。個性派俳優の甲本雅裕(54)、タレント笑福亭鶴瓶の長男で俳優の駿河太郎(42)、元「AKB48」の板野友美(28)らが出演するオンライン舞台「デジタル本多劇場」(LINE LIVEで13、14日に計6公演生配信)だ。

 甲本らキャストは13、14日の本番当日、老舗劇場として知られる東京・下北沢の本多劇場で演じるが、新型コロナの感染拡大を避けるため会場に観客を入れず、有料でオンライン配信する。

 キャストも3密厳禁を徹底。演じる際も2メートル以内に近づかず、近づく場合は飛沫を防ぐ隔たりを設ける。舞台のストーリー自体にもソーシャルディスタンスの要素を取り入れた。

 12日に同劇場で行われた会見に、甲本らキャストが登場。報道陣の取材はビデオ会議アプリZoomを通じて行われた。

 板野は舞台自体が初めてで、それがオンライン舞台となった。日本中から視聴できるため、「本当の(劇場の)キャパより多くのお客さんに見てもらえると思う」と訴えた。

 とはいえ初めての試みに、実際はドタバタ続きだったという。

 関係者は「台本は事前にキャストたちに配布したが、稽古はつい4日ほど前に始まったばかり。しかも、Zoomでの稽古。舞台上で稽古するのは今日が初めて。これでは普通なら演者さんたちに怒られる」と頭をかいた。

 1公演で3本のオムニバス構成になっており、公演時間は1本が10分ほど。映画でいえば超ショートムービーでセリフも少ないが、それでも準備期間があまりにも短い。そのため「Zoomで稽古するなら、オファーは断る!」と出演を拒否した俳優、女優もいたという。

 また稽古も大変だ。キャストはZoomの画面を通して稽古するため微妙にタイムラグがあり、演技がチグハグする場面もあったという。このまま本番に突入する。

 さらに、赤字になることも間違いないという。

「当初、『6月であれば舞台もできるだろう』と考えていた。3密を避けるため、本多劇場の350人のハコに入れる観客を10~20人に絞り、席も点在させるつもりだった。でも収束せず、オンラインでの生配信に切り替えることにした。収支はマイナスになりそう」と同関係者は苦笑いする。

 料金は1公演につき1000LIVEコイン(1220円相当)などに設定。計6公演で仮に1000人が視聴しても、“興行収入”は122万円ほどで寂しすぎる。

 主催者側はキャストへのギャラをもちろん用意するが、実質的には「手弁当」(前出関係者)。ギャラは微々たる額しか発生しないという。

 それでも開催を決行する理由は、「演劇の灯を絶やさず、役者の人たちに表現の場を提供するため」(同)。

 駿河はこの日の会見で、他の芸能人と同じように新型コロナ禍で仕事が飛んだと明かし、今回の舞台の出演に「食いっぱぐれずに済んだ」と冗談めかして笑わせた。

 何もかも手探りで行うオンライン舞台。果たして成功するか――。