これが新しい生活様式ならぬ“新しいお笑い様式”だッ!

 9日、東京都では新型コロナウイルス感染者が新たに12人確認され、9日連続で2桁となった。緊急事態宣言が解除されてもやはり油断はできず、東京アラートも発令され、依然として新型コロナウイルスの脅威は残っているが、通勤電車はサラリーマンの数が増え出し、飲食店にも少しずつ客足が戻っている。そして、ついにエンタメ界にもその動きが広がり始めた。

 テレビではリモート出演から「踊る!さんま御殿!!」(日本テレビ系)のように、出演者の間にアクリル板を置く形で、スタジオ収録・放送がスタート。劇場では、客席と舞台の間に透明フィルムを張って再開を目指すところも出てきた。

 そんな中、中堅お笑い事務所「オフィス★怪人社」では、21日に自粛ライブ「KAIJIN★SHOW」(東京・新宿Fu―)を開催予定だ。代表を務めるマルチタレントのIKKAN(49)は、本紙の取材に次のように語る。

「ライブを開かないかという話を頂き、事務所内では『今まで通りは難しい。できるわけがない』という意見が大勢だった。だが、新型コロナウイルスはすぐに終息するわけではなく、今後も共生は続く。ならば、新しい生活様式同様に、新しいお笑い様式を生み出す必要があると考えた」

 話し合いの結果、芸人たちはフェースシールドの自作に踏み切る。医療関係者に影響を与えないように店での購入を断念し、100円ショップで材料を調達。密を避けながら製作の様子を動画に上げ、飛沫防止が手軽にできることを発信した。

 IKKANは「お客さまを笑わせ、元気づけてナンボの商売。仕事がないと芸人が落ち込んで、いったい誰が笑うのか。都のロードマップに歩調を合わせ、従来のものができなくなったなら、新しいものを作るだけ。辞める、諦めるはすぐできるが、新しいもの、文化を作り出すのが芸能人、芸人の使命。コロナでギスギスした世の中を少しでも丸くしたい」と持論を述べた。

 もちろん、観客にもマスク着用を求める。客席数を半分にした上、楽屋、トイレにまで神経をとがらせ、消毒し、ソーシャルディスタンスを保つ。クラスターを防ぎながら、ネットでの生配信も並行して行い、幾重にも保険をかけて実行に踏み切る。

 実はITにも詳しいIKKANは、試行錯誤を重ねてリモート配信のコツをつかんでおり、こちらに可能性を見いだしていた。ただ、芸人は観客の反応を見ながら成長するもの。配下の芸人が飛躍するため、舞台でのライブが不可欠だと判断した。

 ちなみにIKKANは鉄拳、鳥肌実、故桜塚やっくんら個性派芸人のキャラ設定を行ったことで知られる。元妻は放送中の中村倫也主演ドラマ「美食探偵 明智五郎」(日本テレビ系)の原作者で、「海月姫」「主に泣いてます」「東京タラレバ娘」「偽装不倫」などヒット作を次々と量産する美人漫画家・東村アキコ氏(44)だ。