「テラハ出演」木村花さん急死 制作サイドは何も手を打てなかったのか

2020年05月25日 17時00分

スターダム道場前には花が手向けられた

 木村花さんが若くして死に至った大きな理由は、インターネット上に吹き荒れた誹謗中傷だ。花さんが“標的”になるキッカケとなった「コスチューム事件」は、新型コロナウイルスの影響で多くの人たちが自粛していた時に重なり、ストレスを抱えた人たちの“はけ口”になってしまったと指摘されている。それにしても、このような深刻な事態になっていたにもかかわらず、制作サイドは何も手を打てなかったのか?

 恋愛リアリティー番組「テラスハウス」(フジテレビ系とネットフリックスで放送、配信)に出演していた花さんに罵詈雑言が浴びせられるようになったのは、3月31日に配信されたコスチューム事件からだ。試合用コスチュームを間違って洗濯し、縮ませてしまった男性に激怒した模様に非難が殺到してしまった。

 くしくも世は新型コロナウイルスの影響で自粛を強いられ、4月7日には緊急事態宣言も発令された。コロナの恐怖、また慣れない自粛生活で人々のストレスがたまってきた時期だ。

 ITジャーナリストの井上トシユキ氏は「うっぷんを晴らしたい時期に、たまたま木村さんの話題があった。またツイッターで流れてきた話題は、それが世の中の主流であると感じてしまう人がいる。大量の誹謗中傷は、木村さん叩きに乗っかったやじ馬がいるということ。ネットでの誹謗中傷の大半がそう」と指摘。外出自粛のためネットやSNSを見る時間も増えた。誹謗中傷が加速しやすい環境だったのだ。

 リアリティー番組は、恋愛やオーディションを扱ったものなど様々で、世界中で人気。日本では「ASAYAN」(テレビ東京系)や「ガチンコ!」(TBS系)が代表的。海外では「アメリカン・アイドル」や「サバイバー」など大ヒット作も多い。「出演者は等身大の一般人や、無名の芸能人だったりするので、視聴者が親近感を覚えやすいのが特徴です」とテレビ局関係者。

 特に、ネット環境が整備された昨今は、視聴者との双方向性がより強まっている。「SNSで出演者と直接やりとりができますからね。それが番組の展開に影響を与えることもある。ただ、視聴者の没入感が強い分、反感も買いやすく、炎上することもしばしば。ただ、物語は起伏があったほうが盛り上がるので、制作側としては炎上も狙いの一つなんですよ」(前同)

 リアリティー番組は人気の裏で、海外では出演者の自殺が相次いでいる。その中にはネット上で誹謗中傷されていた人も多い。「知名度の低い人が脚光を浴びて、それに嫉妬した人が書き込んだ可能性もある。社会情勢もあり、絶好の標的になった」(井上氏)

 だからこそ制作サイドは、出演者が憎悪されないよう、一定の配慮をしなければならないだろう。「リアリティーショーでは、出演者が作られたキャラクターということを理解できない視聴者もいる。例えば、企画倒れになるかもしれないが、番組のエンディングに『フィクションです』と脚注を入れるとか」(井上氏)

 花さんの場合はどうだったのか?「亡くなる前、番組の公式ユーチューブチャンネルで、誹謗中傷された原因の一つであるコスチューム問題を取り上げた動画3本を投稿している。批判の嵐の中、新規のネットユーザーまで参戦して、木村さんに集中砲火を浴びせてしまった面は否定できない。だとすれば、状況を甘く見た制作側の責任は問われそうです」(放送作家)

 番組は25日深夜のフジ放送と、26日と6月2日のネットフリックス配信を休止する。悲劇を防げなかったのかと声を上げる人も出ている。

 テラスハウスにスタジオメンバーとして出演している「南海キャンディーズ」の山里亮太は「なぜ画面の中で力強く立ち振る舞っているその姿の裏にある苦悩に気づけなかったのか、何かできることはなかったのかと強く感じています。ご冥福を心よりお祈り申し上げます」とツイート。また、サッカー元日本代表MFの本田圭佑はツイッターで「弱い人を狙うな。誹謗中傷はやるなって言ってもなくならないし、なのでやってもいいからちゃんと強い人を狙うこと。『結論』俺んところに来い」と書き込んだ。

 このような悲劇は二度と起きてはならない。