“手足のないチアリーダー”佐野有美「私の武器は笑顔と元気!人に勇気を与えたい」

2011年10月25日 11時00分

佐野は何事にも前向きさを忘れない

【突撃ヒューマン!】生まれながら手足のない先天性四肢欠損症の佐野有美(21)がデビューシングル「歩き続けよう」とアルバム「あきらめないで」でCDデビューを果たした。一昨年に「24時間テレビ」等で“手足のないチアリーダー”として大きな反響を呼んだ。今回、なぜ歌うことを決めたのか? 笑顔を絶やさぬ彼女にデビューの心境を聞いた。

 ――昨秋発売した自身の詩集の詩に作曲家・都志見隆氏が曲をつけた

 佐野:テレビ番組で私の詩集が取り上げられたのをレコード会社の方がご覧になってくださったみたいで。小さな頃から歌が大好きで声を使った仕事に就くのは夢でもあったんです。夢の一つがかなった思いでした。

 ――詩集を歌詞として伝えることは

 佐野:歌は気持ちを真っすぐに届けられる。歌唱力があるわけでもありませんけど、都志見さんに「託した思いを素直に伝えればいいんだよ」と言っていただけたので、素直な気持ちで歌うことを大切にしています。

 ――届けたいもの

 佐野:やっぱり私は手足はないけど、声は自由に使えるので、声によって人の役に立ちたい。少しでも勇気をもらったとか、そうやって感じていただけたら、これ以上うれしいことはないんです。

 ――なぜ声で

 佐野:きっかけは高校生のチアリーディング部の経験です。声出し係で声を使うことで役に立つことができた。自分自身それまで何かをしてもらうことが多かったんです。でも、声を使うことで「ありがとね、有美に助けられてるよ」って言われた時、私も役に立てるんだって。その経験から声を使ったお仕事ができればいいなって。

 ――チアリーディングをやろうと決めた理由

 佐野:私は生まれつき明るい性格だったんですけど、小学校から中学校にかけて体のことなどで悩んだこともあった。友達とケンカをしたり、自分の殻に閉じこもってしまった時期もあったんです。そんな時にチアリーディング部を見て、みんなが笑顔なのに驚いて。私も笑顔を取り戻したいって思いました。

 ――入部に迷いは

 佐野:私には手足はないし、入部できるかも不安でした。でも、顧問の先生に「入れますか?」と聞いた時に「あなたのいいところは何?」って聞いてくださったんです。私は断られると思ったので返答に困って…。でも、明るさだと思って「笑顔と元気です」と言ったら「じゃあ、大丈夫。明日からおいで」と言ってくださったんです。

 ――「24時間テレビ」等でも手足のないチアリーダーとして大きな反響を呼んだ

 佐野:一緒に踊れない孤独感を感じた時も、顧問の先生は「もう手足は生えてこないでしょ。でも、口はある。“これはできます”“これはできません”と自分で言えるようになりなさい」って。素直に言われたことは自分自身にとって衝撃でした。人前で歌ったり、取材を受ける機会をいただけるのもチアの仲間や顧問の先生の存在が大きかったと思います。

 ――これから

 佐野:アフレコを体験させていただいたんです。私は走ることはできないし、歩くこともできない。でも、キャラクターの息切れシーンを演じた時に実際に走っている感覚を味わえた。実際はできないことを感じることができるお仕事に就けたらなって。少しずつ経験をして、チャレンジしていきたいですね。

☆さの・あみ=1990年4月6日生まれ、愛知県出身。日本テレビ系24時間テレビ「愛は地球を救う」で取り上げられ、話題に。2009年に自伝本「手足のないチアリーダー」を出版。10年6月から、一般企業の事務職で働く傍ら、ラジオパーソナリティーアシスタントを経験したり、講演活動を行っている。