ライブできないお笑い芸人 SNS発信では越えられないハードルも

2020年05月10日 11時00分

新道竜巳

 コロナウイルス感染拡大の影響による自粛ムードが広がり、芸能界は大きな影響を受けている。中でも厳しいのはお笑いの世界。特に痛いのは、イベントやライブを全く開催できないことだ。

“3密”という言葉はすでに一般的なものになったが、お笑いのライブ会場は「密閉、密集、密接」という3つの密が重なり合う最たる場所だろう。しかもステージ上ではなく、問題は客席の方にある。

 お笑いイベントを行う芸人側は、今まで“客席を笑わせてナンボ”という精神でやってきた。だが客が笑えば笑うほど、飛沫が客席を飛び交ってしまう。そうなると客を爆笑させる芸人ほどイベントやライブは行わない方がいい、ということになる。新型コロナの問題がある程度、終息した後も、お笑いのイベントの再開は、最も後回しになってしまいそうだ。

 新型コロナの問題が起きてから、東スポ本紙では「コロナに負けるな!有名人の緊急事態宣言」という企画を掲載している(当サイトにも掲載)。この企画で私は先日、お笑いコンビ「馬鹿よ貴方は」の新道竜巳に話を聞いた。

 新道は「ライブはできない、外出も自粛、そういう中で芸人ができることといったら、やっぱりSNSを利用して発信するしかない」と言う。確かに新型コロナの問題が起きる前から、ユーチューブなどで自ら発信する芸人が増えていた。アーティストの世界では、SHOWROOMなどでライブ配信して投げ銭をもらうというシステムもある。お笑いのライブやイベントが開けない現状では、芸人がネタを配信して課金してもらうというのも今後、一つの考えとしてはありそうだ。

 だが一方で、新道はこうも話した。

「ライブを見に来るお客さんは、芸人の“出待ち”を楽しみに来る人が多い。そう考えると、SNSがライブの代わりにはなり得ないのでは」

 確かにライブに足を運ぶ客は、終了後に芸人が出てくるのを待って、芸人と直接話をすることを楽しんでいる面がある。超売れっ子の芸人は別としても、そんなお客さんと優しく接する芸人も多い。しかしSNSでのネタ配信では芸人と直接話すことはできないため、ライブに通う人にとっては、代わりにはならないのは確かだろう。

 新型コロナがある程度終息し、お笑いのライブが再開されたとしても、今度は“出待ち”がある程度規制される可能性が高い。ファンと芸人が“密接”に、至近距離で話をすることは危険が伴うだけに、出待ちの自粛を求めることになりかねないのだ。

 現在は吉本興業の劇場をはじめ、お笑いのライブは一切開催されていない状況だが、再開しても以前の状況に戻るのはまだまだ遠そうだ。