新型コロナウイルス禍で経済はストップ。リーマンショックをはるかに超える悪影響が出ているが、テレビの世界も例外ではない。感染拡大防止のために報道番組や情報番組を除いて、多くの番組が制作をストップ。過去の再放送や総集編などに切り替えて、苦肉の放送を続けている。

 外出自粛要請を伴う緊急事態宣言は5月6日まで。しかし、すでに延長論が出ており、経済活動が停止した状況がテレビ局の営業面にも大きな影響を与え始めている。

 あるテレビ関係者は「CMの制作現場もストップしているところが少なからずある。ついに5月から放送予定だった某大手企業の新CM制作が間に合わないという事態が発生したと聞いている。ほかにも似たような話は出てきており、局によっては影響が出てきそうです」と明かす。

 あらかじめ番組枠を買っているタイムCMは別として、スポットCMについては新CMが完成しなければ放送されることはない。テレビ局はスポットCMを出してくれる別の企業を探さなければならないが、この“穴埋め”をする企業には頭を下げるしかない。

「コロナ禍で一躍注目されるようになった業種の企業の中には、テレビ局の足元を見てCM料の値下げを強気に要求してくるところがあるんです。一番困るのは『再放送や総集編なんだから、通常の番組より価値は低い。だからCM料を値下げしろ!』という主張。なかには通常の半額にされたという話も聞きますよ」(前出)

 半額とはテレビ局にとっては大打撃。だが、平時に関係性を築けていなかった新規企業だけに「交渉はかなりドライ」(前出)だという。

 こうした穴埋め企業が見つからなければ、無料の公共広告「AC JAPAN」を流すことになるが、それより広告収入がある方がマシというわけだ。コロナ禍がさらに続けば、テレビ局への打撃はさらに広がりそうだ。