緊急事態宣言の対象外“名古屋飛ばし”は誇れるのか?

2020年04月07日 17時00分

コロナ対応を巡って、政府とバトルもあった愛知県の大村知事

 安倍晋三首相がとうとう、新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めるため緊急事態宣言の発令を決断した。対象地域は東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県。死者数が東京に次いで2番目の愛知県は含まれなかった。愛知の県都・名古屋といえば「俺はコロナだ!」と叫んで、逮捕される男が続出した新型コロナを巡るお騒がせの“発信源”でもあり、ネット上では「また“名古屋飛ばし”か」とネタになっている。

 名古屋は東京、大阪とともに日本の3大都市圏の一角を占める。人口が約230万人と多い分、新型コロナの感染者数も自然に多く、6日時点で148人。都道府県別でみると、愛知県は同日までの死者が東京の30人に次ぐ21人で、感染者は東京(1116人)、大阪(428人)、千葉(279人)、神奈川(270人)に次ぐ238人で5位となっている。

 さらに新型コロナを巡っては、名古屋発のニュースも多かった。まだコロナ騒動が深刻化する前の2月半ば、ハワイ旅行から帰国した名古屋市在住の夫婦の感染が明らかに。コロナから逃れるためにハワイへの“避難”を計画していた多くの人たちの夢を断った。

 3月に入って“俺コロナ”が続出した。25日に市内のドラッグストアで49歳の男が「俺はコロナに感染しているぞ」と叫びながら、咳をしたりして、営業を妨害し、逮捕された。29日には市内の家電量販店で42歳の男が「俺コロナだよ。コロナビーム!」と叫んで営業を妨げたとして逮捕されている。駆け付けた警察官が防護服を着て対応する騒ぎだった。

 名古屋ではないが、愛知県の蒲郡では“コロナテロ”が起きた。3月5日に陽性と判明した57歳の男性が「ウイルスをばらまく」と自宅待機せずに居酒屋やフィリピンパブに繰り出し、大問題となった。男性は死亡し、容疑者死亡のまま業務妨害の疑いで書類送検に。そんなお騒がせ続きだった名古屋・愛知県がなぜ、緊急事態宣言の対象エリアから外れたのか。

 ネット上では「愛知はいつも忘れられているんだよ」「緊急事態でさえ外される名古屋は一体…」などと話題になり、“名古屋飛ばし”がツイッターのトレンドワードに入った。「世界に冠たるトヨタを抱えているから止めるワケにはいかない」なんていう“忖度論”も多い。

 ちなみに“名古屋飛ばし”とは新幹線のぞみが開通当初、一部で名古屋駅を通過したことで生まれたワードで、ほかにも海外ミュージシャンの日本ツアーでスルーされるケースが相次いだことで、自虐的に用いられてきた。

 ただ、今回外れたのは、決して“名古屋外し”ではなかったようだ。

 感染者数こそ愛知県は全国5位だが、クラスター追跡で、ある程度の封じ込めはできているようで、最近の感染者数増は緩やかな曲線になっている。

 1日に政府の専門家会議で感染状況に応じて警戒レベルが3段階に区分された際、愛知県は「週別の感染者数で見ても爆発的に増えておらず感染確認地域だ」と3段階の真ん中と主張。同会議に愛知県は医療提供態勢が逼迫していると挙げられたことにも大村秀章知事は「名古屋市内の病床がいっぱいになりつつあるのは事実だが、県全体では十分に対応できる。事実を踏まえない発言は大変迷惑で遺憾だ」と反論していた。

 大村知事は6日、事前に政府から緊急事態宣言の対象エリアに含まれるとの連絡がなかったことに安堵した様子ながらも岐阜、三重の東海3県で意見交換し、外出自粛要請を出すことも検討するとした。

 3大都市圏ながらも緊急事態宣言の対象エリアに今後も入ることなくコロナ終息を迎えることができれば、“名古屋外し”どころか、名古屋で真っ先に外タレのコンサートが開かれる日が来るかもしれない。