新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない中、東京都では5日、新たに新型コロナの感染が確認された人数が最多となる143人に上った。拡大の背景には、ナイトクラブやショーパブなどといった「夜の社交場」での感染が指摘されている。そんな“夜の店”で働くキャバクラ嬢や風俗嬢たちの多くが、人々の外出自粛の影響で生活費に困窮し始めている。しかも、この生活苦こそが今後、“感染経路不明者”が急増する要因になりかねないという指摘がある。

 日本全国で感染者が増え続けているが、最近になって感染経路が分からないケースが問題視されている。

 さらに、東京都においては感染経路不明者の約3割はキャバクラやナイトクラブ、バーなどの客と従業員だったことも判明。クラスター(感染者集団)が生じる密閉空間に人が集まる「3密(密閉、密集、密接)」の条件を満たすリスクが浮き彫りになった格好で、小池百合子都知事は3月30日の緊急会見で、業界を“名指し”して入店自粛を要請した。

「銀座、六本木、新宿・歌舞伎町など繁華街は4月に入って一層客足が遠のいており、休業が続出中。潰れる店も日増しに増えている状況です。銀座ではそうでもないですが、歌舞伎町で働いているキャバ嬢、風俗嬢は稼いだ分だけホストクラブなどに使ってしまって、ほとんど貯金をしていない子も多い。感染が怖くても生活のためにやむなく働いている」(歌舞伎町の飲食店関係者)

 大阪府では夜の街でのクラスター追跡のため、店舗名の公表に応じた場合、経済的な補償をする方針を打ち出し、東京も追随したい構えだが、そう簡単にはいかない事情がある。

「夜の世界は、店も客もお互いの情報を外部に“漏らさない”のが暗黙のルール。しかも、感染者が出たのが公になったら、店が潰れてしまうかもしれない。保健所の調査に『病院でインフルエンザと診断された』とテキトーな理由をつけて拒否する従業員もいる。危機感が薄い店も多くて、3月末に売り上げを上げたキャバ嬢を『コロナで頑張ったで賞』と表彰する店まであった」(前同)

 そうはいっても、やはり“夜の店”に対する風当たりは強くなり、休業する店が増加中だ。こうなるとキャバ嬢や風俗嬢たちは「家賃が払えない」などの生活苦に陥る者が少なくない。なんとか生活費を工面するための方法として嬢たちが始めたのが“パパ活”だ。

 パパ活とは、経済的に余裕のある男性(主に中高年男性)とデートなどに付き合う対価として、女性が金銭援助を受けることを指す。そのパパ活市場にキャバ嬢や風俗嬢が大量流入しているという。

「稼げなくなった女の子たちは『パパ活しかない』となっていて、未経験の子は経験豊富な子にアプリやサイトなどを使ったやり方を教えてもらっている姿を見る。歌舞伎町は無症状の感染者も多いと思いますが、そんな子がみんなパパ活をしだしたら…。パパも女の子も『パパ活で感染しました』とは絶対に言えないでしょうから。感染経路を追うのはもっと難しいと思いますし、これから感染経路不明者が急増すると思います」(前同)

 店で大金を使うよりも、パパ活の方がセックスまで持ち込める可能性も高いため、キャバクラを自粛していた客も「ここがチャンス!」とばかりに前のめりで援助に応じているとか。まさに危険な流れができつつあるのだ。

 しかも援助する側に中高年男性が多いだけに、重症化するリスクも高く、感染経路不明の患者急増で医療がパンクすることも現実味を帯びる。

 小池都知事の「大人の社交場」を標的にした自粛要請だが、結果的にさらなる感染経路不明者を生み出してしまうのか。

 それにしても男と女の欲望は、コロナ感染の恐怖さえも乗り越えてしまうのだろうか…。