震災から9年 DJ・ジョー横溝氏が迫る「東電がひた隠す不都合な真実」

2020年03月12日 17時00分

原発敷地内にある詩人ヴェルレーヌの言葉が作業員の胸に突き刺さる

 東京電力福島第1発電所の廃炉作業に伴い、日々、排出される汚染水。その中でも「トリチウム汚染水」をためておける場所がなくなる問題について、ジョー横溝氏(51)は指摘した。その前編に続く後編は「そもそも、トリチウム汚染水の中身に大きな疑義がある」と東京電力の隠蔽について迫った。

 多核種除去設備(ALPS)でトリチウム以外の放射性物質を取り除いた汚染水、いわゆる「トリチウム汚染水」だが、そもそもこれが「当初、完全にトリチウム以外の放射性物質を取り除けていないことが判明したんです」とジョー氏はこう指摘する。

「東電はそれを認め『当初、急いでいたためにALPSの適切な運用ができていなかった』と釈明しました。ただ、これもメディアの取材によって突き止められたもので、東電は明かしていなかった。そのまま海洋放出していたら、汚染水は垂れ流しになっていましたよ」

 1986年、当時ソ連のチェルノブイリ原発で起きた事故もその後、検証した学者が「事故が起きた原因はたった一つ、ライ(Lie)だ」と指摘。つまり、ウソのせいで事故が拡大してしまったというわけだ。

「みんな分かっていたのに、ポジティブな情報しか出さなかった。こういうことがまだまだある。ホームページには都合の良い情報しか出さない。不都合な真実が隠されているという気がします」とジョー氏は憤慨する。

 廃炉には気が遠くなるような時間がかかる。

「そもそも取り出したデブリ(溶けた燃料棒)を最終的にどう処理するのか、これはまだ決着していないんですよ。とりあえず、現状は敷地内に棺おけ状態にして埋めておくしかない。完全な更地にするのは100年、200年? これも東電は明言していません、というかできない」

 ジョー氏は建屋近くの物置に掲げられた看板に書かれた文字「選ばれし者の 恍惚と不安 二つ我にあり」が妙に心に残ったという。

「この国の将来がこの作業にかかっているという恍惚と、自分の肉体に対する不安。現場で作業されている方は本当に大変だと思います。繰り返しになりますが、日本全体でこの問題を見守っていかなくてはいけない」とジョー氏は締めくくった。(終わり)

☆じょー・よこみぞ=1968年生まれ。東京都出身。早稲田大学卒。2017年まで雑誌「ローリング・ストーン」日本版シニアライターを務める。現在は、音楽を始め、社会問題に関する取材・執筆を行い、新聞、雑誌、ウェブでの連載も多数。ラジオDJとしてはInterFM897でレギュラー番組を務める。ロックバンド「DIR EN GREY」の薫がMCを務めるユーチューブラジオ番組「The Freedom of Expression」出演中。