新型コロナ予防法?「子宮温熱」女医バトル 婦人科医が提唱も“プロボクサー女医”は真っ向反論

2020年03月12日 16時05分

増田あゆみ氏(左)と高橋怜奈氏

 世界保健機関(WHO、本部ジュネーブ)のテドロス事務局長が日本時間12日未明(現地時間11日)に「パンデミック(世界的大流行)だ」とついに明言した新型コロナウイルス。その感染防止に医学界では、さまざまな対策・予防法が提唱されている中、ある予防法を巡って、女医同士の激しいバトルが勃発した。ネット上で「子宮を温めるべき」と新たに提唱した女医に対し、“プロボクサー女医”が「医学的根拠がない」とパンチをお見舞い。双方がカウンターの応酬合戦となっている。

 ネット上で騒然となっているのは、東京・銀座で女性向け心身総合ケア「銀座あゆみクリニック」の院長で婦人科医の増田あゆみ氏が、10日にユーチューブにアップした新型コロナ対策だ。

 その方法とは「子宮を温めるだけで女性はコロナウイルスにかかりにくくなります」という「子宮温熱療法」なるもの。

 動画によれば、免疫力を上げるために、納豆やヨーグルトの摂取は効果的だが、即効性はないという。温めたタオルを子宮部分にあたるおなかの上から2分間温めるだけで女性ホルモンを効果的に、体全体に循環することで「ウイルス、ばい菌、雑菌からガードしてくれる」と説明している。

 この予防法に自らの公式SNSで“反論パンチ”を見舞ったのが、東邦大学医療センター大橋病院婦人科の医師で、現役プロボクサーでもある高橋怜奈氏だ。

 ツイッターで「『子宮を温めるだけで女性はコロナウイルスにかかりにくくなる』という発信をしているのだが『子宮を温めると女性ホルモン分泌』とか『免疫力アップ』とか発言しており地雷案件なので決して踏まないようにお願いします」と呼びかけた。

 新型コロナに限らず、この種の予防・対策は、科学的エビデンスが乏しいとされ、民間療法に位置付けられる。だが、今回は発信者も反論者も医師だけに単なる噂でも片付けられない。

 高橋氏は増田氏の名指しこそ避けたが、真っ向からヤリ玉に挙げた理由を本紙にこう語った。

「低体温症でもない限り、子宮は冷えないというのが前提にあり、温めるという言葉自体が間違っています。コロナ対策に関係するかどうかも医学的根拠となる論文は何もない。子宮という言葉を出すと、女性は妊娠、出産と関わってくるので飛びつきやすい。コロナに絡めればネットでバズるという魂胆が丸見えです」

 一方「子宮温熱療法」を提唱した増田氏も本紙取材に応じ、こう語った。「子宮の周りは腸が囲むようにある。子宮を直接温めるというよりは、子宮を目指して、滞っている周りの血流を促すことで、全身に回り女性にとってはいいことがある。女性ホルモンもそう。子宮を温めるか冷やすかといったら温めた方がいい。これは言い続けたい」

 高橋氏が“子宮”のワードに激しく反応したのは診療経験からだった。

「生理痛を放置して、その結果、不妊になった患者さんを拝見している。民間療法で子宮、卵巣の疾患が治るといい、適切に病院を受診する機会がなくなり、最後に病院に来るケースが後を絶たないのです」(高橋氏)

 対して、増田氏は「コロナウイルスに効く」と断定的な言い方で、動画を上げたのは蔓延する新型コロナへの不安を取り除くためだったという。

「新型コロナの問題で、私の患者さんにも電車に乗るのが怖い、外出するのがつらい、と相談が来る。それなら家でできることはないかと。おなかを温めれば、リラックスして、免疫も高くなる。未知のウイルスに対する不安感を取り除きたいのが根底にあるので(コロナウイルス対策になると)しっかり言った方がいい。高橋先生とはぜひ議論して、いいところだけが患者さんのためになればいい」(増田氏)

 新型コロナ対策を巡っては、ワイドショーや情報番組でのコメンテーターや医師の発言に、厚労省や内閣府がクレームをつけ、番組側が再反論する騒動もあった。

 また、キッチン用エタノール商品を販売するフマキラーが「コロナウイルスへの効果がない」との一部報道に対し「強い憤り」と反論。外部機関の試験を通じて、ウイルスの不活化に効果があるとの根拠を示すなど、各所でゴタゴタが起きている。