横粂勝仁氏に聞く“復讐コロナ”どんな罪?

2020年03月10日 11時00分

横粂弁護士

 陽性でキャバクラに行ったらどうなってしまうのか。愛知県蒲郡市で新型コロナウイルスに感染が確認された50代男性が「ウイルスをばらまいてやる」と自宅待機の指導がありながら、パブに突撃したケースは“コロナテロ”として、全国を震撼させた。世の中にはよからぬ考えを持つ人もいる。この機に乗じて「落ちないキャバ嬢にうつしてやる」という“リベンジコロナ”を企てるやからが出ないとも限らない。また、陽性と分からずキャバクラに行ってしまうケースもあり得る。

 この50代男性の陽性が分かったのは4日。保健所から連絡を受けた後、1人でタクシーで居酒屋に向かった。一部報道によると、出かける前に家族に「ウイルスをばらまいてやる」と宣言したという。2店を訪れ、2軒目のパブでも感染者だと豪語。警察が駆け付ける事態になった。

 まさに“コロナテロ”だが、こうなると店は消毒に追われ、営業自粛の恐れも生じる。いや、営業しても客が敬遠する風評被害も出かねない。一体、この費用をどうしてくれるのか。従業員にも感染しているかもしれない。これに伴う休業による減収分の手当ては一体誰がしてくれるというのか。

 元衆院議員で弁護士の横粂勝仁氏は「陽性だと分かっていて『ばらまいてやる』とお店に行ったら当然犯罪になります。故意に誰かにうつした場合、生理機能を害したということで傷害罪になります。うつらず傷害に至らなかったときにも暴行罪になる。また、お店に対しては威力業務妨害罪になります。お店の場合は店内でうつったかうつらなかったかは関係ありません」と指摘した。

 故意があることが重要になる。たとえばキャバクラに通う客が陽性になり、今だとばかりになかなかヤラせないキャバ嬢を逆恨みして、「うつしてやる!」と来店したら、蒲郡の男性以上に罪に問われる可能性が高い。「ピンポイントで狙っているだけに、やけっぱちになって店に行くより悪質です。刑事事件にすべきという判断になるでしょう」(横粂氏)

 さらに、民事では多額の損害賠償請求が予想される。

「店員なりキャバクラ嬢なり人が請求する場合、治療費と逸失利益、精神的な慰謝料を請求することができます。人気キャバクラ嬢にうつしてやるとピンポイントで狙ったのなら当然、収入を考慮して高額の損害賠償請求になるでしょう」(同)

 もちろん店からの損害賠償請求も加わる。

 こうしたリベンジコロナでなくとも、たまたまキャバクラを訪れるケースもあるだろう。

 故意がなかったらどうなるのか。「陽性と分かっていなければ傷害罪にも威力業務妨害罪にもなりません。民事でも請求が認められないかもしれない。ただ、新型コロナが騒がれるご時世で体調の悪さを自覚していたなら過失傷害罪に問われるかもしれません。この場合、来店したことで相手が感染したという立証が重要になります。HIVや性病など性交渉を伴う場合は立証しやすいですが、(飛沫などで感染するタイプの)ウイルスでは難しくはあります」(同)

 傷害罪となれば15年以下の懲役または50万円以下の罰金となる。ちなみに海外ではより重い罰が待ち受けているところもある。中国の黒竜江省では故意に新型コロナに感染させた場合、最高で死刑を科すという。

 また中国に次いで感染者が多い韓国では、新興宗教団体「新天地イエス教会」を率いるイ・マンヒ教祖ら幹部に感染拡大防止に協力しなかったことで感染者や死者が出た殺人容疑に当たるとしてソウル市が刑事告発していた。イランではマスクの買い占めで死刑になる可能性があると報道されており、故意に感染させたのなら言わずもがなかもしれない。未知のウイルスだけに、より慎重な行動が求められている。