今月上旬に発行された「少年ジャンプ」の人気マンガ「僕のヒーローアカデミア」のキャラクター「志賀丸太」について、韓国に次いで中国から「731部隊の人体実験の対象者を指す『丸太』を連想させる。謝罪せよ」というクレームがついた。ジャンプ編集部と作者は即座に謝罪、キャラクターの名前を「志賀丸太」から「殻木球大」に変更した。この騒動について、新型コロナウイルスがらみの中国の政治的な意図が見え隠れするという声が出ている。

 志賀丸太は同作で悪役を支援する“丸々と太った”マッドドクター。しかし、韓国、中国は731部隊の人体実験の被験者を指す「丸太」と結びつけた。被験者は主に中国人、朝鮮人、モンゴル人、米国人、ロシア人の捕虜だった。

 韓国事情に詳しい文筆人の但馬オサム氏は「そもそも石井中将の率いた731部隊は防疫部隊です。人体実験や細菌戦の研究を行ったというのは、戦後流布した“伝説”にすぎません。その証拠に、731部隊の研究データを押収した米国が近年『同部隊が人体実験を行った証拠はなかった』と発表している。証拠がない以上、現時点では“伝説”としか言いようがありません」と語る。

 ではなぜ、新型コロナの脅威があった今月上旬のタイミングで、731部隊を蒸し返したのか。

 但馬氏は「私は、韓国よりもむしろ彼らの背中を押しているのは中国だと思っています。韓国と中国は潜在的には仲が悪いのですが、反日という一点では実に共闘しやすい。背景には世界に広がりつつある新型コロナがあります」とみる。

 新型コロナは一部で中国・武漢の施設で作られた生物兵器だったと噂されている。

 但馬氏は「中国政府のさまざまな隠蔽体質が地球規模へと脅威を広げたことは事実で、国際社会の非難を免れない。731部隊を引き合いに出すことで、新型コロナ問題との相対化を狙っていると思います。あわよくば、新型コロナは731部隊の細菌兵器だったというプロパガンダに結び付けたいのかもしれません」と指摘している。