東京五輪出場の可能性は? カンボジア国籍のアスリート芸人・猫ひろし(本名・瀧﨑邦明=42)が3日、都内で行われたスポーツパフォーマンスウオーター「Re.Cera(リセラ)」新製品記者発表会(はつが主催)に出席した。

 国籍変更までしてリオ五輪に出場にたどり着いた猫だが、今年の東京五輪出場には黄信号がともっている。昨年12月にフィリピンで行われた東南アジア競技大会では、自己ベストに程遠い2時間53分34秒でゴール。完走選手10人中最下位で惨敗だった。

“限界説”もささやかれていたが「実はレースの1か月前に足をケガして、3週間走れなかった。リハビリしながらケガは治ったが、心肺機能は戻らず、あんな結果になった」と釈明する。

 1月には東京の荒川沿いを走る「ハイテクハーフマラソン」で、1時間11分45秒の自己ベストを記録。限界説を吹き飛ばし、進化し続けていることを証明した。しかも、この時は故障個所の保護を考慮して、レース用ではなくミズノ製のエンジョイランナー派シューズを履いていた。

 そんな猫に、最近はやりのナイキ製厚底シューズについて聞くと「レースで履いているが、僕の場合はスピードを求めてじゃなくて、背が高くなるため。皆さんとは目的が違う」と笑いを誘った。

 厚底容認派で「今までの速いシューズは薄くて軽いものばかりでヒザへの負担が大きく、比較的ケガしやすかった。ナイキの軽くて柔らかい厚底シューズは、足を保護しつつ反発する。値段が高すぎて買えないわけじゃないし、誰が履いても必ず速くなるわけじゃない。簡単に規制するより、開発したナイキの企業努力を認めるべきではないか」という。

 箱根駅伝など、このところ長距離大会ではナイキ製シューズの着用率が驚くほど高くなり、好記録が続出している。ただ、先の大阪国際女子マラソンでは、名匠・三村仁司氏(71)が手掛けたニューバランス製薄底シューズを履いた松田瑞生(24=ダイハツ)が、日本歴代6位となる2時間21分47秒で優勝。日本陸連派遣設定記録を突破し、東京五輪出場の夢をグッと引き寄せた。

 三村氏はかつて高橋尚子(47)、野口みずき(41)らの金メダル獲得をサポートしたことで世界的に知られる。現役時代には、瀬古利彦日本陸連マラソン強化戦略プロジェクトリーダー(63)、イチロー(46)の足元も支えてきた。

 猫は「反発性のあるシューズはいくつか出ているが、ほとんどの選手がナイキ製を履いているのは、スピードを出す性能が優れているから。ただ、松田さんは薄底だったし、僕もミズノのシューズで自己ベストを出した。走るのは人間で、シューズはあくまで付属品。もし、ナイキ製シューズが規制されても、選手のレベルアップが著しいので、これまでの記録はいずれ破られるはず」と指摘した。

 自身の東京五輪出場の可能性については「薄い。せいぜい10%くらい。前回は5月に選考大会が開かれて、そこで好成績を出せた。今回はもう選考大会がないので、東京マラソンなどの公式競技で好記録を出し続けるしかない。そこが考慮されて代表に選ばれる可能性はわずかに残されている」と言及した。