“あいまいな契約”にこそメリットあり 吉本と芸人双方の言い分とは

2020年02月02日 11時00分

会見を開いた淳と亮(右)

 事務所を通さず反社会的勢力の会合に参加し、金銭を受け取ったとして芸能活動を自粛していた「ロンドンブーツ1号2号」の田村亮(48)が1月30日、復帰した。相方の田村淳が設立した会社「LONDONBOOTS」に所属し、吉本興業とはエージェント契約を結ぶことで、復帰への地ならしができた。淳の吉本との粘り強い交渉が奏功したといえるだろう。

 昨年6月に勃発した吉本芸人の闇営業騒動。反社会的勢力から金銭の授受がなければやっていけない背景には、吉本と芸人との間にきちんとした契約が結ばれていないからだとし、騒動は契約問題にまで発展したのは記憶に新しい。現在はどうなっているのだろうか。

 ある中堅芸人Aの証言。

「もう所属芸人は、みんなに契約更改について通達されていると思いますよ。僕の場合は、三択を提示されました。(1)弁護士立ち会いの下、細かく契約を結ぶ、(2)現状の不満がなければ、いつでもよいから書類にサイン、(3)エージェント契約です。まあ、(1)と(3)を選ぶ人はほとんどいません。ほとんど(2)です。下っ端の芸人は吉本からメールで一斉送信されて、所属希望ならば必要項目に記入して返信を求められているようですね」

 報じられているところでは、エージェント契約を結んだのは、先の田村亮のほかに極楽とんぼの加藤浩次。ほとんどは現状のままというのが実態らしい。

「だって、売れている芸人さんはあえて契約を見直す必要あります? あまり売れていない芸人も、やはり吉本興業の看板はでかいんですよ。例えば、SNSには直営業のお誘いがいっぱい来るんですが、反社会的勢力かもしれないし、怪しい宗教団体かもしれない。だから無視する。吉本所属だと、相手もいろいろ言ってこないですからね」(同芸人)

 まっとうなところからの直営業も限定的に認められているという。

 下っ端芸人Bが明かす。

「5万円以下なら会社通さなくてもOKです。というか、けっこうあいまいなんですよね。ある芸人は吉本を通さない仕事をしていて、それを会社は把握しているんですが、特に何も言われないんです。もし仮に聞かれたとしても、芸人同士の間では『5万円以下でしたと言おう』ということにしてありますけど(笑い)」

 今やお笑いだけではなく、多角化経営で成り立っている吉本興業は、動くお金も莫大。芸人たちの数万円程度のお金にかまっていられないという。ましてやいちいち調べる余裕などない。つまり、あれほどの騒動を起こしても、結局変化はないに等しいわけだ。

 あるテレビ関係者はこう指摘する。

「吉本としては、一応現状のままだと世間体が悪いので、契約書を所属タレントと結ぼうとしていますが、まあそういうポーズがあれば御の字ということでは? 実態が現状と変わらなくてもね。むしろ、契約でがんじがらめに芸人を縛っても、いいことないですから。直営業を認めなければ、一定の給料保証が必要だし、そうなればハングリーな芸人は出てこない。いろいろあいまいにすることで、芸人と吉本双方にメリットがあるんです」

 まさに大山鳴動してねずみ一匹。“子年”にふさわしい幕引きといえるかもしれない。