昨今、どういうわけか、宮型の霊きゅう車を個人所有するのがはやっている。ツイッターやインスタグラムなどのSNSには、そのような写真がアップされている。

 ここ数年、“死を連想させる”などとした地域住民の反対で、火葬場に宮型霊きゅう車の出入りを禁じる自治体も増えている。そのため、1台ウン千万円という高級車が、ネットオークションなどで数万円から数十万円の格安で手に入れることもできるという。

 関係者は「若者は宮型霊きゅう車を見たことがないため、死を連想せず、ど派手でおしゃれな車として買うことがあるんです。外国人にも人気です」と言う。そんななか先日、東京・高円寺で行われたイベント「DEATHサウナ」に、音楽ユニット「MAMMOTH(マンモス)」が宮型きゅう柩車で乗りつけた。イベント会場は環七沿いにあるので通行量も多く、通行人はビックリだ。

 MAMMOTHの岡崎絶太郎(39)は「この車は編集者、映画監督であるドナルド・ムネアキ氏が映画のセット用に中古で買ったものです。そんなに高いものではありませんでした。『死神号』です。このイベントが初めてのお披露目です。自分たちはミュージシャンですが、普通に仕事もしています。会社員だったりフリーのカメラマンだったりですね。死神号はばっちりメンテナンスをしているのでバリバリ走りますよ」と語る。

 MAMMOTHは30代の4人組ユニットで、ブレイクビーツやノイズなどのジャンルを根底としたディープな音楽を紡ぎ出すことで知られている。1990年にノイズユニット「暴力温泉芸者」を立ち上げて、海外でも公演を行っているミュージシャン・小説家の中原昌也とも交流がある。イベントでは中原とも共演する時間が設けられた。

 今回、霊きゅう車の中では、ARIKA氏によるライブタトゥーも行われた。普段、ひつぎの置かれる場所には座布団が敷かれ、そこにお客さんが座ったり、寝そべったりして、タトゥーが彫られていた。会場では、現代美術家の赤木楠平氏の「仏壇アート」も展示されたり、カレー屋が出店し、サウナも設置されるなど衝撃的なイベントとなった。