世界のスイーツは“日本化”している!? 世界的なパティシエの辻口博啓氏と本紙で肉コラムを連載している肉マイスター・田辺晋太郎が3日、東京・港区の「ウルフギャング・ステーキハウス シグニチャー」で肉とスイーツに関するトークを繰り広げた。同店が辻口氏とのコラボレーションデザートを提供することを記念したもの。

 イチゴをふんだんに使い「THE RED」と名付けられたそのデザートは、辻口氏によれば「チョコに砂糖を一切使わないなど、糖質をかなり落としました。スポンジには小麦を使わずグルテンも抑えています」という健康志向のもの。これに田辺は「アメリカのステーキハウスのデザートは親のカタキのように甘いのが出てきます。ウルフギャングもアメリカ発の店です。そこでこういうのが出てくるのはすごいこと」と驚いた。

 辻口氏によれば、実はこのところ世界のデザートが“日本化”しているという。「フランスのケーキは、昔は甘かったけど、今は砂糖をどんどん減らしています。健康ブームによって極端に甘いものを嫌うようになったのもありますが、世界的に料理の技法のコミュニケーションが取れるようになり、デザートの糖質に対する考え方が日本に近くなった」という。

 実は日本のデザートがあっさりしているのには、ちゃんとした理由がある。辻口氏によれば「日本料理って、けっこう砂糖が入ってるんです。だからデザートはフルーツだけとか、そんなに甘くしない。フランス料理は砂糖をあまり使いません。その分、デザートで甘さを取っていたんですが、そうした糖質に対する考え方が、この10年で変わってきたんです。デザートは適切な糖質バランスで素材の味を生かすのが現在のスタンダード。今回のコラボデザートは最も世界のトレンドに沿っています」。

 本家・米国にはないデザートの採用について田辺は「米国と同じようにやるのではなく、マクドナルドのてりやきマックバーガーのように、ローカライズされたメニューが登場するのが、その地で長く繁栄する理由になると思います」と語った。