高輪ゲートウェイ駅周辺再開発余波…“爆音マニアの聖地”消滅を惜しむ声

2019年12月04日 10時00分

タクシーは天井スレスレで通過する

 もう“爆音浴”ができなくなる! 都内屈指の珍スポットで、“タクシーのちょうちん殺し”“低すぎるガード”として知られる「高輪橋架道橋」が、その姿を消そうとしている。JR山手線の新駅「高輪ゲートウェイ」の誕生で、周辺の工事が進み、来年4月には完全に閉鎖されるのだ。これに大ショックを受けているのは“爆音浴”愛好家たちだというが、いったいどんな人種なのか――。

 高輪橋架道橋はJR山手・京浜東北線の田町駅~品川駅間のほぼ中間地点にある。そのガード下のトンネルは片側1車線の道路で長さは約250メートル。高さ制限は何と1・5メートル。トラックやバス、ワゴン車などは通ることができない。セダンタイプのタクシーは通ることができるが、屋根に掲げられたタクシーの表示灯“ちょうちん”が天井に当たって壊れてしまったこともあった。

 歩道も併設されているが、背の高い人はかがみながら歩くことになる。

 それがJR山手線新駅「高輪ゲートウェイ」の来春開業に伴う付近一帯の再開発でなくなってしまう。港区まちづくり支援部土木課によると高輪橋架道橋が閉鎖されるのは来年4月ごろだという。

 高輪橋架道橋の上には、西側から順に山手線、京浜東北線、東海道線、東海道新幹線が走っている。つい最近までは、西側部分に山手線と京浜東北線の電車が走っていたので、“爆音浴”を楽しむスポットになっていた。爆音浴とは文字どおり、バカでかい音を全身に浴びることだ。

 爆音浴第一人者のクロスケ氏は「古びた鉄橋をきしませながら長編成の車両が分刻みに頭上を通過します。この場所は爆音マニアの聖地であり、手の届くような場所を通過する線路からは油臭さが漂っていました。夏は、すぐ真上を走る電車のエアコンからの水滴、冬はモーター車の生暖かい風が爆音と共に降り注ぎます。五感で爆音を感じることができる貴重な場所だったんです。快適性を求める現代社会において、ここまで居心地の悪い場所がなくなってしまうことに寂しさを感じざるを得ません」と語る。

 先月、高輪ゲートウェイ駅がほぼ完成して、報道陣に公開されたばかりだが、そのころを境に線路の変更が行われた模様で、現在は爆音体験をすることはできなくなってしまった。

 また再開発の一環として、ほぼ同じ場所に「第2東西連絡道路」という名称の新しい道路が造られることが決まっている。完成すると片側1車線、相互通行のできるものとなり、その高さは車道から4・7メートルになる。高さの低いトラックやバス、ワゴン車なども通ることができるようになるという。