「沢尻降板の大河」スタート延期の意外な事情

2019年11月27日 17時00分

勾留期限が10日間延長された沢尻容疑者

 やっぱり間に合わない! 女優・沢尻エリカ容疑者(33)が、合成麻薬MDMAを所持していたとして麻薬取締法違反容疑で逮捕されたことを受け、来年のNHK大河ドラマ「麒麟がくる」のスタートが2週間延期になり、出演者、制作関係者らは肩を落としている。沢尻容疑者の代役は川口春奈(24)に決まり、後は大急ぎで収録すればいいだけなのに、それができない事情があった。それは――。

「麒麟がくる」の沢尻容疑者の代役に川口を起用することをNHKは先日発表した。その川口の撮影は12月上旬から行われるが、第1話を放送するはずだった1月5日には間に合わないと判断。同局は26日、初回放送を1月5日から2週間後の同19日に延期することを決定した。異例の措置を「撮り直しや編集といったスケジュールを総合的に勘案した」と説明、全体の放送回数も未定としている。

「麒麟がくる」は今年6月にクランクインし、すでに10話分の撮影を終えている。明智光秀を主人公とした同作で沢尻容疑者は、斎藤道三の娘で織田信長の正妻となる帰蝶(濃姫)という重要な役どころだったため、第1話からガッツリ登場している。

「突貫工事さながらに、本来なら急ピッチで川口の収録を進めていきたいのが本音。そうすれば1月5日に間に合わせることもできそうだが、そうもいかない“事情”があるんです」と声を潜めるのはNHK関係者だ。

 というのもNHKはいま「働き方改革」により、深夜に及ぶ撮影ができなくなっているからだ。これはNHKの記者だった女性が2013年7月に過労死したことが背景にある。

 亡くなったのは当時、入局9年目で31歳だった佐戸未和さん。亡くなる直前の1か月間の時間外労働(残業)は159時間37分に及んだ。しかもNHKがこの問題を発表したのは17年になってから。4年間も事実を隠蔽していたことで、当時は大きな批判を浴びた。

 この問題を受けて働き方改革の推進を掲げたNHKは、大河ドラマや朝の連続テレビ小説(朝ドラ)などのスタジオ収録を原則的に午後9時までに終わらせることを決めている。

 そのため、1月5日を前提に沢尻の代役である川口を第1話に登場させるべく“突貫工事”で長時間収録を行うことは不可能なのだ。

「過労死は本当に大問題だし、そのうえ隠蔽していたのだから批判されたのは当然。それを発端にした働き方改革で、午後9時までにスタジオ収録を終わらせることを決めたのに、まさか出演者の薬物逮捕が原因で、代役の収録を深夜までやるわけにはいかない」(同)

 そもそも大河ドラマの放送が1月スタートにもかかわらず、「麒麟がくる」が6月にクランクインしたのも、この働き方改革の影響が大きい。

「大河のクランクインは、以前は9月くらいだった。でも深夜までスタジオ収録ができないから、最近は5~6月くらい。出演者には『以前ほどスケジュールが厳しくないから、役作りもしやすい』と好評だったんですが…」(同)

 そもそも沢尻容疑者が逮捕されたことによる撮り直しについても「国民の受信料で成り立っているのに、ムダなカネを使うな!」といった批判的な意見も多い。さらにこんな見方もある。

「以前の大河なら高い視聴率を誇っていたし、少しくらい制作費がオーバーしても仕方がない面もあった。でも最近は視聴率が低迷。現在放送している『いだてん~東京オリムピック噺~』なんて、ずっと1桁台だからね。『麒麟がくる』も、もし視聴率が低かったら、『わざわざ撮り直したのに…』『もう予算をかけるのはやめろ!!』なんて批判されるのは間違いない。今後は制作費が削減される可能性まで出てくる」(芸能プロ関係者)

 沢尻容疑者の逮捕により、「麒麟がくる」はなんとも厳しい船出となりそうだ。