涙、涙のグランドフィナーレとなった。「ミス慶應コンテスト2019」のグランドフィナーレが19日、都内で行われ、7人のファイナリストの中からグランプリに文学部3年の村中暖奈(はるな)さんが選ばれた。今年のミス慶応は「ミス慶應コンテスト2019実行委員会」と学生団体「KOPURE」がそれぞれ開催を表明し“分裂”と話題になった。騒動を乗り越え最終幕を迎えたことに出場者も運営関係者もホッと胸をなで下ろしている。

「女子アナへの登竜門」と言われるミス慶応。グランプリに輝いた村中さんは受賞後、本紙の取材に夢を語った。

「小さい頃からお芝居が好きで、お芝居の仕事をさせてもらっていました。一時休止をしているのですけど、ずっとあきらめきれない女優という仕事をしていきたい」と女子アナではなく、女優になりたいというから意外だ。

「女優を休止というときに何も挑戦しないのは嫌な性格なので、この機会に友達の後押しをもらって『ミス慶應』に挑戦しました。アナウンサーのイメージが強いと思うけど、変わった道があってもいいのかな」とミス慶応からの女優という未知なるコースに挑むと意気込んだ。

 準グランプリとなった法学部2年の堀部佳那美さんの夢は「すてきなお嫁さん」。同じく準グランプリの法学部2年の田代麻純さんは女子アナウンサー。高校生のときに東日本大震災の被災地である石巻や福島でボランティア活動をして現地の人と触れ合ったことで、「あたたかみを伝えられる仕事」としてアナウンサーになりたい思いを強くしたという。

 無事に終わりを迎えたコンテストだが、順風満帆ではなかった。

 ミス慶応コンテストは過去に不祥事があって当時の運営団体は解散となっていた。2018年に実行委員会がコンテストを復活させて、19年も2年目の開催を発表していた。そこへ新規参入の学生団体「KOPURE」が、ファイナリストを発表。メディアでミス慶応の分裂騒動として大きく取り上げられていた。

 後日、KOPUREが開催を目指していた独自のコンテストは中止となったことは本紙既報の通り。

 いろいろあっただけにファイナリストたちも自然と涙が流れた。堀部さんは冒頭から泣いていた。家族や友人への感謝とともに運営団体にも感謝する。

「例年よりも大変だったと思う。厳しい中でも私たちの要望を聞いてくれ、一緒に半年間頑張ってくれた。運営の方には感謝しかありません」(堀部さん)
 田代さんも「感謝の気持ちでいっぱい。しっかり休んでほしい」と話した。

 村中さんは「運営の方たちは同じ大学生ということもあって親身になって話してくれて、楽な気持ちで活動させてくれた。ほかのファイナリストとも運営の方とも友達みたいになれた」と言う。

 運営団体代表者は「ファイナリスト同士が仲良く終われたのがよかった。先輩から『運営がよかったかどうかは、終わった後、同窓会が行われるかどうかで分かる』と言われていたが、この7人はこれからも会ってくれるんじゃないかな」と達成感を覚えている。

 来年も実行委員会として「ミス慶應コンテスト2020」が開催される。

「実績と信頼を積み重ねて、いつか三田祭(学園祭)の舞台に帰ることができたら」と期待を込める。