NHKは大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」に続いて、“身辺調査”の大甘ぶりを露呈してしまった。9年ぶり5回目の薬物事件での逮捕となった元タレントの田代まさし容疑者(63)は、7月にNHKの番組に出演し、薬物の恐ろしさを語っていたばかり。ただでさえ再犯性が懸念されていた田代。水面下では危険情報が流れていたにもかかわらず、今回の逮捕を想定できず起用したNHKに、猛批判の矛先が向くのは避けられない。

 覚せい剤取締法違反(所持)の疑いで6日に宮城県警に逮捕された田代容疑者。容疑は、8月23日に宮城県塩釜市の宿泊施設で、また今月6日に杉並区で、それぞれ覚醒剤を所持した疑い。

 塩釜署によると、田代容疑者が利用した塩釜市の宿泊施設から「客が変な物を忘れていった」と8月24日に通報があり発覚。塩釜市で所持していた案件で今月6日に逮捕する際にも、覚醒剤を所持していたため、現行犯逮捕した。

 別件で服役後の2010年に麻薬取締法違反容疑、覚せい剤取締法違反容疑で薬物では3、4回目の逮捕となり、翌年には懲役3年6月の実刑判決を受けた。14年に仮釈放されてからは更生施設スタッフとして働くかたわら、芸能活動も再開していた。

 7月にはNHK・Eテレの情報バラエティー番組「バリバラ」に「マーシー先生」として2回にわたり出演。覚醒剤に手を出した動機について、面白いことを言い続けなければならない“ギャグハラスメント”から逃れるためだったなどと明かしていた。

 放送当時、お堅いNHKが犯罪歴のある田代を番組に出したことを「英断」とする声が出た一方で、「果たして本当に大丈夫なのか? 田代がまたクスリに手を出したと言われているから」と危惧する声も多かった。

 1~2年ほど前から「またクスリを再開したことは間違いないだろう。話し方など様子が明らかにおかしいから分かる」と本紙に証言する関係者もいた。

 今回、危惧が現実のものとなってしまい、NHKは同番組公式サイトの「これまでの放送」一覧から田代容疑者の出演回を抹消するなどの対応に追われたが、すでにネット上には番組に出演させたことへの批判が出始めている。NHKでは、「いだてん」出演者のピエール瀧が薬物犯罪で逮捕、複数の番組に出演の「チュートリアル」徳井義実が税金の申告漏れで活動自粛に追い込まれるなど、相次いでタレントのスキャンダルに見舞われている。

「特に(徳井も出演した)『いだてん』のキャスティングに関して、NHKの調査の甘さが指摘されていた。それに加えて、多くの関係者が疑念を持っていた田代をあえて起用したのだから、責任を問われてもおかしくない」(テレビ局関係者)

 田代容疑者の逮捕によりNHKが猛批判にさらされ、逆風が吹くのは間違いなさそうだ。

【5月に薬物替え歌披露】田代容疑者が“薬物ソング”を歌う映像が7日、フジテレビ系情報番組「とくダネ!」で放送された。PUFFYのヒット曲「アジアの純真」のメロディーで「アヘン コカイン マリファナ ヘロイン たまにやってパーになって やらんふりして たまにはやらないか」と替え歌を披露。5月末、静岡県浜松市の飲食店でのイベントに呼ばれた際のことだという。白い帽子に上着の田代容疑者は自身のヒット曲など多数を歌い、元気な様子だったという。薬物替え歌の後には「もうだめだめだめ だめだめ これ以上歌ったら捕まっちゃう」と付け加えていたが…。