作家の乙武洋匡氏(43)が6日、都内で新刊「四肢奮迅」刊行記念の義足歩行公開練習を行った。

 乙武氏は現在、義足を装着し歩行する「乙武義足プロジェクト」に参加。新刊「四肢奮迅」では、先天的に四肢がない乙武氏が「歩く」ことの大変さなど、そのプロジェクトの全貌がつづられている。

 今回のプロジェクトが従来のものと違うのが義足に「モーターが組み込まれている」(乙武氏)ことだという。ヒザの役割を補うためで、乙武氏は「人間のヒザってすごい。適度に曲がってロックして、また伸ばすということを意識せずに自然に行っている」。

 さらに乙武氏は「私は歩くことの三重苦を抱えています」として「ヒザがない」「手がない」「歩いていた経験がない」と挙げた。

「手がないとバランスが取れない。バランスというのはとても大事らしいんです。また、こけた時に顔から突っ込んでしまう。歩いた経験がないので、筋肉の使い方も分からなかったんです」と乙武氏は語る。会見には義足エンジニアの遠藤謙氏、義肢装具士の沖野敦郎氏、理学療法士の内田直生氏のプロジェクトメンバーも同席した。

 同プロジェクトは2018年から本格的にスタートし、19年8月27日に乙武氏は「歩行距離20メートル」を達成した。

 報道陣に公開された歩行訓練では10メートルの距離を少しずつながらも、歩いてみせた。軽量化されているものの、義足は1本4・5キログラムで2本で9キログラム。「ものすごく体力を使いますし、これまでの僕の人生では例えようのないぐらい体力を使います。最初は太ももを上げようとしていたが、現在では体幹を使えるようになってきていて、腹の奥が燃えるように熱いんです」と語った。