落語家・桂小春団治(61)が、今月14日に東京・新宿角座で行う独演会のPRのため先日、東京・江東区の東京スポーツ新聞社を訪れた。普段は関西で活動する小春団治だが、東京での独演会も20年以上、毎年開催。さらに最近は海外でも精力的に公演を行っている“世界的落語家”だ。そんな小春団治に独演会への思い、さらには今年、お笑い界を大いに騒がせた闇営業問題などをたっぷり語ってもらった。

 ――東京での独演会はいつから

 小春団治:小春団治を襲名して20年たつんですが、その前から。新宿角座は今回で3回目。新宿は仕事終わってから駆け付けやすくて評判もいいです。

 ――内容は

 小春団治:古典と新作を1本ずつ。どっちもネタ下ろしで、今回は古典は「寝床」、新作は「果てしなきブルー」というネタをやります。

 ――2006年には国際落語振興会を設立

 小春団治:落語界初のNPO法人です。20年前に海外公演を始めたんで、資金調達で助成金を出してもらいやすくするために立ち上げた。海外公演だけでなく小学生のための落語鑑賞会も始めました。この10年ほどで3万人くらいの小学生を無料招待してます。

 ――海外公演はどれくらいやったんですか

 小春団治:のべ二十数回で15か国。字幕で使った言語は12くらい。

 ――還暦すぎて今61歳

 小春団治:健康法はストレスをためないこと。しんどいことはやめとこうと。唯一しんどいのが、この独演会(笑い)。

 ――今年のお笑い界は闇営業問題が話題だが

 小春団治:そんなに大きな問題じゃないのにね。反社会的勢力といっても本人は知らんかったし。会社にナイショで行ってたけど、世間が問題にすることではないし。

 ――宮迫博之はまだ復帰していない

 小春団治:かわいそうですね。まあ闇営業の問題より、会社との信頼関係が崩れてしまったんでしょうけど。でも最近、芸人にも一般的な規範みたいなものが求められるけど「最近の芸人はサラリーマンみたいで面白くない」とかいう人もいる。世間の規範の枠を芸人に当てはめてるのに「破天荒なヤツがいなくて面白くない」と言われても…。何かにたけた人は何かが極端に足りない。女にだらしないしカネにルーズだけど、芸はすごいという。常人を超えたプラスがあると何か欠けてるものがあるんです。

 ――芸人は特にそう

 小春団治:マイナスの部分はマネジャーが補えばいいだけなのに、最近はマイナスのところばかり騒ぐんですね。

 ――師匠は松竹芸能の所属

 小春団治:吉本興業さんにも落語家がたくさんいるから「会社と面談やったの?」って聞いたら「2時間やりました」って。1人に2時間もかけてたらアカンやん、と思いましたけど(笑い)。

 ――松竹でも「面談やろう」とならなかった

 小春団治:ならないですねえ(笑い)。ずいぶん前に「反社とは付き合わない」という文書にサインしたけど。吉本さんみたいにコンプライアンス研修を開くんかな、と思ったけどそれもないんですよ。

☆かつら・こはるだんじ 1958年2月15日生まれ、大阪府出身。本名・三島広幸。77年に三代目桂春団治に入門し桂春幸、79年に桂小春に改名。99年、三代目桂小春団治を襲名。97年度の文化庁芸術祭新人賞、2007年度の同優秀賞受賞。日本だけでなく海外公演を精力的に開催し、落語家としては初めてニューヨーク国連本部、カーネギーホールでも公演。06年にニューズウィーク誌が選ぶ「世界が尊敬する日本人100」に選出される。松竹芸能所属。