参院埼玉選挙区補欠選挙は27日投開票され、立憲民主、国民民主両党埼玉県連が支援する前埼玉県知事の無所属上田清司氏(71)が、NHKから国民を守る党(N国)の党首立花孝志氏(52)を破り、初当選を決めた。開票前から落選を予想していた立花氏にショックは全くなく、今後は首長選に出馬しまくると宣言。「可能なら2週間に1回選挙に出る」という――。

 午後8時前、東京・永田町に用意された立花氏の記者会見場には報道陣約20人が集まった。立花氏は「こんなに来ているとは思わなかった。8時には(上田氏の)当確が出ると思うので」とあっけらかんと話した。

 会見場にあるテレビのチャンネルをNHKに合わせて速報が出るのを待った。すると予言通り、大河ドラマ「いだてん」が始まったと同時に「上田氏当確」のテロップが出る“瞬殺”となった。だが立花氏は「予想通り。次は神奈川県の海老名市長選に出馬します」と改めて宣言した。

 今回の選挙が10日に告示されてからすぐに「当選はないな」と判断した立花氏だが、実りの多い選挙戦だったという。

 NHK問題の優先順位を下げ、既得権益との戦いを掲げて、消費税率5%への引き下げなどを主張して戦った。しかし、予想したほど注目を浴びなかったという。

「選挙中に思い付いたのは、NHKの受信料を支払っていない世帯に5万円を差し上げるという公約は大事ということですね。でも、参院選なので当選したところで実現できない。だったら首長選だと。首長なら、勝てばその市区町村でできる。そう今回の選挙で有権者から教えてもらった」

 国政の場で何かを変えようと思ったら数の力が必要だが、自治体の長ならできることもあることに気付いたのだ。

「首長選に出て、そのエリアでNHK集金人の戸別訪問を禁止する条例とか、NHKの集金人は制服を着ないといけない条例とか、ルールを作れるのではないかとの提案を有権者の方からいただいたんです。まだ我々は首長選に勝てる数字は持っていないと思ってたが、勝てるところがあるのかもしれない。可能なら2週間に1回、選挙に出る」

 決めたら行動が速いのが立花流だ。海老名市長選は11月3日告示、同10日投開票となっている。ほかに東京都の小金井市長選(12月1日告示、同8日投開票)も出馬予定に浮上。立花氏は「考えられるものは全部出る。選挙に出ることが僕の仕事」と意気込んだ。

 これまで立花氏に対しては「NHKのことだけやって」などという批判がネット上などでみられた。だが、NHK集金人のマンション立ち入り禁止条例などができれば、そういった批判もなくなる。永田町関係者は「NHK局員が『N国は伸びるよ』と言っていたくらいだからN国のポテンシャルは高い。対NHKの政策を中心に掲げれば、まだ伸びていくのではないか」と指摘した。

 立花氏はすでに次期衆院選の候補者集めにも着手している。ホリエモンこと堀江貴文氏や元プロ野球選手の清原和博氏に声をかけていることは本紙でも既報した通りだ。「衆院選では5議席が下限目標です」と、落選したとは思えないほど立花氏の鼻息は荒かった。