強制性交罪に問われた元俳優・新井浩文被告(本名パク・キョンベ、韓国籍=40)の論告求刑公判が23日、東京地裁(滝岡俊文裁判長)で開かれ、検察側は懲役5年を求刑した。示談に応じない被害女性の処罰感情は強く、実刑判決となる可能性が高い。となれば芸能界への復帰は絶望的だ。そんな中、一時は公開が危ぶまれた出演映画「台風家族」がDVD化される方向であることが分かった。これが新井被告の“引退作”になる。

 新井被告は昨年7月、派遣型マッサージ店の30代女性セラピストAさんに乱暴した。検察側は、被害女性が拒んだにもかかわらず両手で頭を押し付け、性行為に至ったとし「性欲が赴くままに行った自己中心的な犯行。反省の姿勢が感じられない」と指摘し、懲役5年を求刑した。新井被告は「反抗を困難にする暴行はなかった」として無罪を主張して結審。判決は12月2日に言い渡される。

 司法関係者は「新井被告はAさんに2000万円の示談金を用意したにもかかわらず、断られました。通常、同罪の相場は200万~300万円なので、Aさんの処罰感情は相当強い」と話す。

 強制性交罪は懲役5年以上。3年を超える懲役刑は執行猶予がつかないため、示談がまとまっていない新井被告には厳しい判決が待っている公算が大きい。となれば「芸能界復帰は難しい」と同関係者。

 新井被告といえば、元「SMAP」の草なぎ剛主演映画「台風家族」に出演していた。事件の影響で一時、お蔵入りの危機に直面。それでも、配給側は新井被告の出演シーンをカットせず、9月から期間限定での公開に踏み切ったのは記憶に新しい。そんな同映画がDVD化されそうだという。

 今月19日、都内で行われたイベントで、配給会社社長兼同作プロデューサーがステージ上で、DVD化の意向をポロッと口にしたのだ。草なぎらキャスト陣は登壇せず、マスコミも取材に呼ばれなかったため、このコメントは報道されなかった。

 だが、同作トップの言葉に観客は歓喜。スタッフは仰天したという。

 配給側は「ファンの方々からDVD化を求める声をたくさんいただいています。その声を最大限生かせるよう鋭意努力中です」と否定せず。映画同様、新井被告の出演シーンをDVDに残すかは「検討中」としたが、楽しみにしているユーザーを考慮してカットしないものと思われる。

 新井被告は自らが“主演”してAさんとの性行為を再現した約2分半の“ショートムービー”を、9月26日の前回公判で“上映”。性行為までの過程を裁判官3人に分かりやすく示す狙いがあったというが、刑事裁判では“奇策”として物議を醸した。この再現ビデオが“最後の作品”になる見込みだった(本紙既報)が「台風家族」のDVDがリリースされれば、今後世に出る正真正銘の“引退作”ということになる。

「配給側は新井被告の蛮行で多大な被害を受けたため、DVD化にこぎつけて、少しでも回収したいと考えるのは無理もない」(映画関係者)

 なお配給側は、新井被告から事件について謝罪があったかには「コメントは控えます」とした。