俳優・中井貴一(58)が17日、京都市で開幕した「京都国際映画祭」のオープニングセレモニーで発表された「三船敏郎賞」を受賞した。

 戦後の日本を代表するスター、三船敏郎さんの名前を冠し、国際的な活躍が期待される俳優を表彰する同賞を受賞した中井は「賞っていうのは本当に励みになる。もうすぐ60歳になる。ガムシャラにこの世界の中で走ってきたんですが、この年になって評価され、先輩の名前がついた賞をいただけるのは、『もう一回、ここから頑張れよ。しっかりやれ』と言われてるような気がします」と喜びをかみしめた。

 三船さんは一緒に仕事をし、遊びも教わった先輩だといい「朝、現場に着くと、キャンピングカーの周りを掃除しているおじさんがいるなと思ったら三船さんだった。豪放らい落に見えますが、とても細やかな精神をしてらっしゃるんだなと思った」と思い出を披露。演技指導などはなかったというが「役者というのは、いるだけで何かを伝えられないとダメなんだと思った。芝居のテクニックではなく、存在感をどうやってつくるのかが、その人の歴史なんだと痛感しました」と話した。

 そんな中井は、吉本興業が進めている「住みます芸人」プロジェクトのミャンマー住みます芸人・緑川まり(36)から、出演作の映画「ビルマの竪琴」(1985年)について聞かれると「僕らが撮影していた時は、ビルマに入れなくて、タイのゴールデントライアングルのあたりで撮影していた。アウンサンスーチーさんが来日されたときに『ビルマの竪琴を見た。会いたい』と言ってくださったんですが、スケジュールの都合でお会いできなかった。今度はぜひお会いしたい」と語った。

 これに緑川が「私に言っていただければ(面会は)大丈夫です」と大風呂敷を広げると、中井は「意外と簡単やな」と苦笑いした。

 また、日本映画の発展に寄与した後進映画人を表彰する牧野省三賞には、牧野さんの孫である故津川雅彦さんが受賞した。

 亡き父に代わって受賞した長女の真由子(45)は、津川さんが生前、同賞を受賞するチャンスがあったが「身内がもらっちゃマズいだろ」と断っていたことを告白。ただ、今年が牧野氏の没後90年に当たることから「また声をかけていただき、受けさせていただきました。お墓参りに行って『もらっていい?』て聞いてきました。こんな光栄なことはなく、父も喜んでいると思う」と話した。