16日放送のテレビ朝日系「報道ステーション」は、同局夕方の報道番組「スーパーJチャンネル」で“やらせ”があったことを報じた。

 メインキャスターの富川悠太アナウンサー(43)は神妙な表情で「極めて不適切な演出が行われていたことが分かりました」と伝えた。問題の企画は3月15日に放送された「食品などを安く販売する東京都内のスーパーマーケットの買い物客に密着取材し、その方々の人間模様などを描く」というもの。放送で紹介した買い物客のうち「VTRの主要な部分に出演している男女4人が、企画を担当した契約ディレクターの知人」だった。契約ディレクターは「店に来てほしいという直接的な依頼はしていなかったが、来店することを想定して知人にスケジュールを教えていた」と話しているという。そして知人が来店すると「初対面であるかのようにカメラで撮影」した。

 この契約ディレクターは映画監督の経験もあり、4人のうち3人は自らが教える俳優養成教室の生徒で、もう1人も別の専門学校などで接点があった。また、客の友人として登場する女性も俳優養成教室の生徒だった。

 この企画は業務請負契約に基づいて関連会社である「テレビ朝日映像」に制作を委託。同局は放送までのチェック過程で不適切な演出に気づかなかったと説明。「不適切な演出」を認めた契約ディレクターは当時、所属する派遣会社からテレビ朝日映像に派遣されていたが、現在はテレビ朝日の仕事はしていない。最後はテレビ朝日の篠塚浩常務が会見で「今回の問題は当社の番組に対する信用を著しく毀損する傷つける大変重大な問題であると認識しております。誠に申し訳ございませんでした」と謝罪する場面を放送。テレビ朝日とテレビ朝日映像は責任者と関係者を懲戒処分にするとしている。

 バラエティーの演出どころでは済みそうにない報道番組での不適切演出。テレビ朝日の調査で「事前の打ち合わせをした形跡がない」としているが、登場人物は、契約ディレクターの教え子で俳優の卵。“いい仕事”をしたに違いない。