吉野氏ノーベル賞発表から一夜・夫婦会見では出なかった秘話「門限朝7時」の仰天

2019年10月11日 16時00分

揃って会見した吉野氏と久美子夫人

 午前様でもOK!? リチウムイオン電池の開発によりノーベル化学賞の受賞が決まった旭化成の名誉フェローで名城大教授の吉野彰氏(71)が10日、久美子夫人(71)と記者会見した。発表から一夜明けてようやく実感がこみ上げてきたという吉野氏だが、世の中は“吉野フィーバー”が起きている。旭化成の株価は上がり、吉野氏の人生を決めた本もバカ売れ。それほどの大発明は夫人の支えあってのもの。「門限は朝7時」というおよそ学者の家とは思えない仰天秘話も飛び出した。

 会見で久美子夫人は「受賞して夢のようです。私は山(登り)をやっているが発表のある10月は山に行きたい気持ちを抑えてきた。やっと解放されて安心して山に行けます」とユーモアを交えて喜びを語った。

 毎年候補に挙がっていただけに、2人にとっては待ちに待った受賞。日本中も歓喜の渦となった。吉野氏が受賞会見で科学の道を志したきっかけとして挙げた「ロウソクの科学」(マイケル・ファラデー著)に注文が殺到。同書を出版する岩波書店とKADOKAWAは増刷を決めた。

 ネット通販サイト「アマゾン」の売れ筋ランキングでは10日午後9時の時点で、1位から4位が「ロウソクの科学」とその関連本で占められた。

 株価にも影響があった。10日の東京株式市場で旭化成の株価終値が前日比19円50銭高の1125円となったのだ。また、リチウムイオン電池関連銘柄も上昇。古河電池、田中化学研究所などに動きがあった。

 それだけ吉野氏の発明が世の中に及ぼす影響が大きかったことの表れだろう。吉野氏が夫人へ「シャレたことは言えないが、苦しいときは迷惑かけたこともある。受賞を一緒に喜んでもらいたい」と言えば、久美子夫人も「最高のプレゼントをありがとうございます」と笑った。

 2人の出会いは大学時代。別々の大学で考古学サークルに所属しており、両サークルの交流会で出会った。久美子夫人は「結婚するにあたって私はサラリーマンの人と結婚するんであって、学者の妻になるとはつゆも思っていませんでした。こんなことになるならサポートとか何事もちゃんとしとけばよかった」と笑う。吉野氏も「もっと私を大事にしておけばよかったということだと思います」と返した。

 会見ではわからないこの夫婦の“実像”はいったい――。吉野氏の後輩社員によると「吉野さんは奥さまにどんな仕事を今しているか言わない人だったから、奥さまは仕事内容を知らなかったんですよ。ただ、最近は吉野さんの仕事に興味を持たれたみたい。奥さまは活発な方で、共通の趣味はテニスです」と明かした。

 子供は1男2女。「吉野さんは家族をすごく大事にする人でした。毎日のように飲み歩いていた時期があったのですが、吉野さんに遅くなっても大丈夫かと聞くと『門限は朝7時だから大丈夫』と言うんです」(前出の後輩社員)

 午前7時が門限とは、とても学者とは思えない豪快なエピソードに聞こえるが、実はそうではない。

「実際に朝7時まで飲むわけじゃありません。毎朝7時に家族揃って奥さまの作った朝食を食べるのが吉野家のルールになっていて、その時間を大事にしていたのです」(前同)

 会見で久美子夫人は「健康に気を付けてください」と心配する様子も。吉野氏は小食で酒席ではお酒ばかり飲むといい、家庭でも「好き嫌いが激しくて緑黄色野菜はのけて食べない。たばこも隠れて吸ってる」(久美子夫人)とか。

 午前7時の朝食も「きちんと健康に気を付ける意味」(後輩社員)があったという。家族揃っての朝食が健康のもとだったのは間違いない。

 共同受賞者の米テキサス大オースティン校のジョン・グッドイナフ教授は97歳で現役。吉野氏は「命ある限り研究を続ける」と話しているが、久美子夫人の支えがあればこそといえるだろう。