下水管で発見!赤ちゃんアシカ 奇跡の生命力

2019年10月02日 17時00分

無事に生きていた「キュッキュ」。関係者や来園者を安堵させた(天王寺動物園提供)

 大阪・天王寺動物園で9月27日から行方が分からなくなっていた、生後3か月のカリフォルニアアシカの雌の赤ちゃん「キュッキュ」が1日、園内の下水管から発見され、無事に保護された。元気な様子で、獣医が健康状態を調べている。同園ではシマウマやトラの相次ぐ死など、悪いニュースが続いていただけに、関係者だけでなく市民もホッと一安心している。

 同園によると1日朝、飼育員らがアシカを展示するプール近くの地下から、キュッキュのものとみられる鳴き声を聞いた。午前10時10分ごろ、マンホールの中にいるのを発見し、直径約60センチの下水管から引き上げたという。

 体長80センチのキュッキュは元気な様子だというが、同園関係者は「下水は当然、汚いところですし、見た目は元気であっても、おなかの中がどうなっているのか?というのもある。獣医の方でしっかり確認していきたい」と話した。

 キュッキュは先月26日の午後4時ごろに姿を確認されていたが、同園はその後、プールの水の入れ替えのため排水バルブを開錠し、排水を開始。排水溝(直径約30センチ)をふさぐカバーが外れているのに気づいたが、頭数を確認していなかった。27日になって、キュッキュがいないことに気づき、排水溝から流されたとみて園内外の下水管を中心に行方を捜していた。

 アシカの生態について、同園の獣医は「アシカは母乳で育ち、当園では生後約9か月後に離乳します」と話す。置かれた環境などにより個体差はあるものの、エサがなくても「1週間くらいは大丈夫」だという。

 下水管の中という悪環境でも生き延びる生命力を見せたが「汚物が流れているところにずっと浸っていたわけではなく、水が流れていない横菅のようなところを見つけて体を休めていたようで、発見時も水の流れていない場所にいました」と明かした。

 子供が見当たらなくなったことで、母親の「チョコ」の様子も気になるところだが「排水管の中からキュッキュが鳴いているのが聞こえていたようで、特に変わった様子はなかったです。我々も一昨日に把握したので、チョコの声を録音して呼び寄せるようなことはしていました。ただ、人間が来ると警戒するので、なかなかうまくいかなかった。母乳も飲ませてあげたいし、できるだけ早く母子を会わせたい」と話した。

 同園では、先月11日にグラントシマウマの「ヒデヨシ」(雄、27歳)がエランド(ウシの仲間)とケンカになり、ツノで腹を刺されて死んだ。

 同16日にはアムールトラの「虎二郎」(雄、7歳)が突然死するなどいいニュースがない。大阪府内で唯一飼育する雄のコアラ「アーク」(12歳)も、餌となるユーカリの栽培管理費約3200万円が負担になっていることなどを総合的に判断し、今月中旬に英国の動物園へ貸し出すことが決まっている。

 前出の関係者は「ヒデヨシに関しては、人間が関与できることが難しかった。虎二郎については、市民の方からも『なんでや?』と言われるかもしれませんが、突然死で本当に何が何だか分からない。ただ、今回は完全なヒューマンエラー。しっかり担当していかないといけない」と気を引き締める。

 一方で、市立の動物園ならではの難しさもあるようで「アシカ専用の獣舎を造りたいというのも何年も前からありましたが、工法や入札の具合などで遅れているのはあります。やりたいことがすぐにできない難しさはありますね」という。

 大阪市民も「入園料も安いし、市内の小中学生はタダ。みんな一生懸命やってくれてる」とそのあたりは分かっている。

「ええニュースがなかったから、キュッキュが見つかって良かった。“奇跡のニワトリ”『まさひろ』みたいに人気者になればええな」(同)

 まさひろとは、タヌキなど肉食動物用の生き餌として仕入れられたが、偶然が重なり3度も生き延び、“会えるとラッキーになる”として人気者となったニワトリ。

 キュッキュも奇跡的に生きていただけに、人気者になるに違いない。