デビュー50年という節目の年を迎えた歌手の由紀さおり(70)が6日、東京・銀座の観世能楽堂で一人芝居「夢の花―蔦代という女―」の初日公演を行った。

 この舞台は、有吉佐和子の名作「芝桜」の蔦代を中心に描いた物語。由紀は「一人芝居は憧れで、自分でできるかどうか、チャレンジして一度は乗り越えてみたいと思った」と、自ら熱望したものだという。

 舞台では芝居に歌、踊りと三味線の「4役をこなす」と言う由紀。この舞台にかける意気込みは大変なもので、現在は50周年を記念したコンサートツアー中だが、「ツアーを少々、前倒しして、8月中旬から、ほぼこの稽古に当てている」。それでも、いつもとは違うステージに由紀は「新しい発見がたくさんある。刺激的な日々を送らせてもらっている」と目を輝かせた。

 今回は8日までの3日間公演だが、「これだけのセリフを覚えたので、チャンスがあれば」と、来年以降も継続してこの舞台を行いたい意向を持っている。さらには「地方にも良い能楽堂があるというので、呼ばれれば喜んではせ参じたい」と笑みを見せた。

 本業の歌に加えて、舞台にも意欲を見せる由紀。ある音楽関係者は「今回の舞台は、デビュー50周年ということで『絶対にやりたい』と由紀さんが言い出したことで実現しましたが、ほかにもやってみたいこともあるようです。体力も気力も尋常じゃない。まだまだ突き進むつもりでしょうね」と感心する。

 すでに70歳になったが、まだまだやりたいことがたくさんある由紀。デビュー50周年も、本人にとっては単なる通過点にすぎないようだ。