加藤浩次が発案の専属エージェント契約は「絵に描いた餅」 ほとんどの芸人にうまみナシ

2019年09月06日 11時00分

他の芸人のため、大崎会長に強く訴えた加藤だったが…

 やっぱり“加藤の乱”は不発!? 反社会的勢力への闇営業問題に端を発した吉本興業の一連の騒動を受け、同社は専属エージェント契約を導入する方針を明らかにしている。同制度を提案したのは「極楽とんぼ」加藤浩次(50)であり、そう遠くないうちに新たな契約を結ぶ見込みだ。だが、加藤の後に続く芸人はほとんどいないとみられる。というのも、うまみがないからだが、その理由は――。

 一連の騒動を受けて吉本興業は、経営改善についてアドバイスする「経営アドバイザリー委員会」を設置した。これまで3回にわたって会合が開かれている。

 8月8日に行われた1回目の会合では、契約について話し合われた。この場で同委員会は、吉本に所属する約6000人のタレントと共同確認書を交わし、その上で専属マネジメント契約か専属エージェント契約をタレントの意思で結ぶことを提言。会合に出席した岡本昭彦社長も異論はなかったという。

 翌9日に放送された日本テレビ系の情報番組「スッキリ」で、MCを務める加藤が専属エージェント契約について「僕が思いつきました」と明かした。大崎洋会長との会談の場で、加藤が「エージェント契約が導入されるなら吉本に残る選択肢も考えている」と言うと、大崎会長は「分かった」と受け入れたという。

 この制度が導入されると、吉本所属のタレントは、専属マネジメント契約か専属エージェント契約のどちらかを選ばなくてはならなくなる。ある若手芸人は「僕らが専属エージェント契約を選ぶことなんてできない。今まで通りでいいとなると、専属マネジメント契約を選ぶしかないんですかね?」と戸惑いを隠せないでいた。

 吉本が導入しようとしている専属エージェント契約とはどういうものなのか?

「専属マネジメント契約は今まで通り。吉本が仕事を取ってきてマネジメントも吉本が請け負うというもの。一方、専属エージェント契約は、仕事を取ってくる部分は吉本が請け負うが、マネジメントは芸人自身が行う。もしマネジャーが必要ならば、芸人自身で雇わなければならない。売れている芸人ならともかく、ほとんどの芸人にそんな余裕はない」(芸能プロ関係者)

 また、仕事を取ってくる部分は吉本が請け負うとはいっても「吉本のマネジャーはつかないのだから、テレビ局に自分が担当する芸人を積極的に売り込むこともしない。加藤さんくらい売れていたらいいけど、ほとんどは専属マネジメント契約を選ばざるを得ない」(前同)。

 特に吉本制作の番組の場合、エージェント契約の芸人よりマネジメント契約の芸人の方がコストが低くなる可能性がある。そうなれば、自然とエージェント契約の芸人は敬遠されるようになるだろう。つまり、芸人にとって、エージェント契約のうまみがないのだ。

 一方、吉本はこれまで「所属芸人の数に比べマネジャーが少なすぎる」と批判されてきた。「マネジャーの数を増やすと、どうしても人件費がかさむから、吉本としては増やしたくないのが本音。でも、専属エージェント契約を選ぶ芸人が増えたら、マネジャーをつける必要はなくなる。吉本にとってはありがたいのでは」(テレビ局関係者)

 自身の進退をかけて経営トップに退陣を迫った“加藤の乱”によって、導入される方向で進んでいる専属エージェント契約だが、事実上ほとんどの芸人が結べないのが実情だ。このままでは“絵に描いた餅”に終わりかねない。